アメリカを拠点とするオークション会社、ヘリテージオークションの売上高が2023年に過去最高の17.6億米ドルを記録しました。
さまざまなジャンルのものが出品されるヘリテージオークションの中でも、コイン部門が大きく売上に貢献していることが、注目すべき点です。
今回は、ヘリテージオークションが2023年に過去最高の売上高を記録したニュースについて解説するとともに、高額落札されたコインについて紹介します。
- ヘリテージオークションが2023年に17.6億米ドルを売り上げ過去最高額に
- 2023年の売上にはコイン部門が大きく貢献している
- 552万ドルで落札された1870年の3ドル金貨と288万ドルで落札された1829年キャップド・ヘッド・レフト・ハーフイーグルが注目の品
- ヘリテージオークションは日本支社も設立している
- 過去最高売上高を記録することにより今後のコイン市場活性化が期待できる
目次
2023年のヘリテージオークション売上は過去最高!
- 2023年ヘリテージオークションの売上は17.6億米ドル(およそ2,600億円)で過去最高
- 2023年の売上高は2022年の21%増
- コイン部門の売上が大きく貢献しており、中でもハリー・W・バス・ジュニアのコレクションから出品された2つのコインが多大な売上をあげた
アメリカを拠点にする世界最大級のオークション会社、ヘリテージオークションの総売上が17.6億米ドル(およそ2,600億円)に達し、過去最高額を達成したことがわかりました。
ヘリテージオークションは2021年、2022年にも過去最高売上額を記録しており、3年連続で記録を更新し続けています。
創立以来47年もの歴史があるヘリテージオークションですが、2023年の売上額は2022年の21%増と、非常に目覚ましい成長を見せています。
また、注目すべきは、ヘリテージオークションの主要カテゴリーにコイン部門があり、2023年の総売上額にコイン部門が大きく貢献していることです。
まず、2023年の年頭に1870年の希少な3ドル金貨が552万ドルで落札されたのち、4ヶ月後に1829年の金貨が288万ドルで落札されました。
このように数多くの有名コインが出品され、高額落札額を叩き出したことが2023年のヘリテージオークションの総売上に大きく貢献している理由と言えるでしょう。
ヘリテージオークションには日本のコインも登場し、明治9年の旧20円金貨が198,000ドル、万延大判金が28,800ドルで落札されるなど、コインコレクターの増加とともに日本コインへの注目も集まってきているのがわかります。
監修者 葉山満
コイン部門が売上に大きく貢献している
さきほども紹介したように、過去最高額を記録したヘリテージオークションの2023年総売上は、コイン部門が大きく貢献しています。
- 高額な落札額となったコインは、1月5日に出品されたサンフランシスコ造幣局発行の1870年代3ドル金貨とその4ヶ月後に出品された1829年キャップドヘッド・レフトハーフイーグル
- いずれも一般には出回りにくい状況の超希少コイン
- これらコインの出品元であるハリー・W・バス・ジュニア・コア・コレクションは、長年アメリカの貨幣協会で永年会員をつとめていた人物によるもの
コミック部門、スポーツ部門、エンターテインメント部門など、コレクター向けにさまざまなジャンルが用意されている中、コイン部門が大きく貢献した理由はどこにあるのでしょうか。
2023年のヘリテージオークションで高額な落札額となったコインをご紹介するとともに、高額落札額となったコインの出品元、ハリー・W・バス・ジュニア・コア・コレクションについて解説します。
高額な落札額となったコイン
高額な落札額となったコインに、552万ドルとなった2023年1月5日に出品されたサンフランシスコ造幣局発行の1870年代3ドル金貨と、その4ヶ月後に出品され288万ドルとなった1829年キャップドヘッド・レフトハーフイーグルがあります。
2枚の高額コインは、いずれもアメリカの著名なコインコレクターであったHarry W. Bass Jr.によるコレクション、ハリー・W・バス・ジュニア・コア・コレクションから出品されたものでした。
1870年の3ドル金貨(552万ドル)
画像引用元:ヘリテージオークション
1870年発行の3ドル金貨は、ほぼ幻と言っても良いほど非常に希少価値の高いコインです。
PCGSにてSP50の鑑定を受けています。
こちらは1870年サンフランシスコ造幣局発行であることが確かでありながら、造幣局長の1870年年次報告書において3ドル金貨の発行は記録されていないことが、高額で落札された理由のひとつと言えるでしょう。
しかし、他の資料によると、ごくわずかな数のみ発行されていることがわかり、その目的は第二サンフランシスコ造幣局の礎石に沿えるためたと考えられています。
一般に流通しておらず、かつ、同年発行の同コインはサンフランシスコ造幣局の礎石に添えられていることが確認できるため、非常に希少なものです。
1829年キャップド・ヘッド・レフト・ハーフイーグル(288万ドル)
画像引用元:ヘリテージオークション
1829年発行のキャップド・ヘッド・レフト・ハーフイーグルは、造幣局の移設の年である1829年に発行されていることで非常に希少価値の高いコインとなっています。
PCGSにてPR66+の鑑定を受けています。
キャップド・ヘッド・レフト、つまり帽子をかぶった左向きの横顔のコインは1829年から1834年までの5年間しか発行されていません。
とりわけ、最初の発行年であり、フィラデルフィア造幣局が7月に移設された1829年のものは発行枚数が極端に少なく、元々希少なキャップド・ヘッド・レフト・ハーフイーグルの中でも滅多に見られない逸品と言えます。
ハリー・W・バス・ジュニア・コア・コレクションとは
2023年ヘリテージオークションの売上高に大きく貢献したこの2枚のコインは、いずれもハリー・W・バス・ジュニアによるコレクション品でした。
ハリー・W・バス・ジュニアは30年以上アメリカの貨幣協会永年会員をつとめた人物です。
1966年アメリカの貨幣協会に入社し、1年ほど研究を積んでから1795年から1933年までに発行された金貨を造幣局ごとに収集することを目標に活動していました。
ハリー・W・バス・ジュニアのコレクションは2001年から2022年までの間貨幣博物館に展示されたのち、2023年よりヘリテージオークションに出品されることに。
ヘリテージオークションでの売り上げは、ハリー・W・バス・ジュニア財団により、数多くの非営利団体に寄付されました。
監修者 葉山満
ヘリテージオークションが日本支社設立!
世界的に注目度の高いコインが多数出品されるヘリテージオークション。
- 2023年にヘリテージオークションが日本支社を設立し、各種サービスが日本で受けられるように
- これまではハードルが高かった英語でのヘリテージオークション利用がしやすくなりそう
日本からでも、ヘリテージオークションでコインを落札したい、と考える人も少なくないのではないでしょうか。
ヘリテージオークションはオンライン上で気軽に閲覧・利用ができるオークションですが、高額な商品を落札するのは、配送面も含めて不安を感じることも。
しかし、そんな日本のコインコレクターに非常に嬉しいニュースが飛び込んできました。
2023年より、ヘリテージオークションが日本支社を設立したというニュースです。
ヘリテージオークションの各種サービスを日本語で受けられるほか、ヘリテージオークションで購入したものを日本支社経由で受け取ることも可能です。
詳しくは、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
ヘリテージオークションの会員登録方法も記載しています。
ヘリテージオークションが日本支社を設立!さらにコインを出品しやすくなる?
アンティークコインをオークションで購入するときのメリットや注意点
ヘリテージオークションの最高売上により何が期待できるのか?
ヘリテージオークションの最高売上にコイン部門が大きく貢献したことにより、コイン収集への注目度が更に高まり、コインコレクション市場が今後ますます活発になることが期待できます。
アンティークコイン等のコインを、コレクターズアイテムや資産として収集する人は日本ではまだまだ少ないと言えます。
しかし、こういったニュースによりコイン収集への注目度がますます上がり、コイン市場が活発になることで、コインの価値がさらに上がることも期待できるでしょう。
日本語だけではなかなか難しいコインに関する情報も、より獲得しやすくなるかもしれません。
まとめ
今回は、アメリカを拠点とするオークション会社、ヘリテージオークションの2023年の総売上が過去最高の17.6億米ドルに達したニュースについてご紹介しました。
ヘリテージオークションは2021年より常に売上最高額を更新しています。
2023年の売上には、数あるジャンルの中でもコイン部門が多大な貢献をしており、非常に注目度の高いハリー・W・バス・ジュニア・コア・コレクションから出品された2つのコインが特に高額な落札額をたたきだしました。
ヘリテージオークションの売上が最高額になったこと、その売上はコイン部門が大きく貢献したことにより、今後のコイン市場もますます活発になることでしょう。
- ヘリテージオークションが2023年に17.6億米ドルを売り上げ過去最高額に
- 2023年の売上にはコイン部門が大きく貢献している
- 552万ドルで落札された1870年の3ドル金貨と288万ドルで落札された1829年キャップド・ヘッド・レフト・ハーフイーグルが注目の品
- ヘリテージオークションは日本支社も設立している
- 過去最高売上高を記録することにより今後のコイン市場活性化が期待できる