2025年6月に開催されたStack’s Bowers Galleriesのオークションで落札された物理的ビットコイン(BTC)である「カサシウス」シリーズのコイン。
このコインが、11万7,000ドル(約1,800万円※)という驚異的な価格で落札されたことで非常に話題になりました。
これは、額面のおよそ1,000倍という価格です。
また、真鍮製のコインとして史上最高落札価格の記録をも塗り替えることになりました。
今回は、アメリカのコイン情報サイト「GRAYSEET」で掲載された記事をもとに。物理的ビットコイン「カサシウス」が驚異的な価格で落札されたことについて解説していきます。
※2026年2月現在のレートである1ドル=155円で換算した金額
- 物理的暗ビットコイン「カサシウス」は2011年~2013年に発行された真鍮製のコイン
- 裏面のホログラムを外すとビットコインを入手するための秘密鍵が取得できる
- 今回のオークションでカサシウスコインは額面のビットコイン価格より1万ドルも上乗せされた価格で落札された
- 上乗せされた1万ドルは物理的暗号通貨そのものの「希少性」に対してつけられたもの
- 物理的暗号通貨もアンティークコイン同様「骨董的価値」が認められるコインと言える
これまでのオークションに関する記事はこちら
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目次
そもそも物理的ビットコイン「カサシウス」とは何なのか?

そもそも、物理的ビットコイン「カサシウス」とはどういったものなのでしょうか、解説していきます。
ビットコインが実装された史上初の物理的コイン

画像引用元:PCGS
カサシウス(Casascius)は、暗号通貨であるビットコインが実装された、史上初の物理的コインです。
2011年にアメリカの暗号通貨愛好家であるマイク・コールドウェルによって作成されました。
伝統的なコイン収集と新しいデジタル通貨の架け橋となる存在として非常に話題になりました。
コイン1つで1BTCの価値があるものだけでなく、0.1BTCの価値があるものなど、さまざまなものがあります。
また、インゴット形式の「カサシウスバー」と呼ばれるものも同時期に作成されました。
しかし、米国金融犯罪取締ネットワークからの懸念や、セキュリティ上の問題から2013年には発行中止に。
そのため、カサシウスは2011年〜2013年の間にしか発行されていない希少なコインとなりました。
監修者 葉山満
カサシウスコインの仕組み
カサシウスは、一般的な金貨や銀貨とは違い、真鍮に金メッキがほどこされたコインです。
貴金属としての価値はほぼ無いに等しいコインと言えるでしょう。
コインの裏側にホログラムシールのようなものが貼り付けられており、ホログラムを外すと見られる「秘密鍵(プライベートキー)」を利用すれば、仮想通貨であるビットコインが入手できるというもの。
今回落札されたカサシウスコインはどのようなもの?
今回落札されたカサシウスコインは、PCGS社により「MS-62」のグレードがつけられています。
当然ですが裏面のホログラムが外されていない状態での出品です。
また、カサシウスコインの発行終了直前である2013年に発行されたもので、額面は1BTC。
このコインに1BTCが組み込まれた当時のビットコイン価格はおよそ120ドルでした。
同オークションで売れた他の物理的暗号通貨の落札結果
今回のオークションでは、カサシウス以外にもいくつかの記録が更新されました。
- 2016年 BTCC “ポーカーチップ” 0.1ビットコイン(PCGS鑑定 MS-69)
1万9,200ドルで落札されました。ビットコイン自体の価値に対し、約100%ものプレミアムが上乗せされた新記録です。 - 2017年 BlueBits “ポーカーチップ” 0.01ビットコイン(PCGS鑑定 MS-69)
2,040ドルで落札されました。これも同シリーズの新記録となりました。
これらにより、今回の6月のオークションにおける物理的暗号資産の売上総額は25万ドルを超えました。
史上最高額となった落札額について

額面上、1BTCの価値のある今回のカサシウスコイン。
2025年6月に開催されたStack’s Bowers Galleriesオークションでの落札価格は11万7,000ドルでした。
発行時は1BTCがおよそ120ドルだったため、今回の落札価格はそのおよそ1,000倍ということになります。
しかし、オークション開催時のビットコイン市場価格は約10万7,000ドル。
シンプルな額面上の価格よりも、当カサシウスコインの落札価格は1万ドルほど高額だったのです。
監修者 葉山満
落札価格が額面より1万ドルも高かった理由とは?
今回落札されたカサシウスコインも他のカサシウスコイン同様、真鍮製で貴金属としての価値はあまり見込めないコインです。
そのため、シンプルにビットコインの価格がカサシウスコインに反映されるのが通常ですが、今回は額面価格よりも1万ドルも高い価格が落札額となりました。
なぜ、額面よりも高額でカサシウスコインが落札されたのか、専門家の見解を元に解説していきます。
物理的暗号資産プログラム責任者の見解
カサシウスコインのような物理的暗号資産プログラムの責任者であり、今回のオークション会社貨幣部門ディレクターであるジェームズ・マッカートニー氏はこのように述べています。
「時が経つにつれ、中のビットコインを取り出すために多くのコインが破壊されてしまいます。
そのため、今回のように破壊されずに現存しているコインの希少性と重要性はさらに高まっているのです。」
つまり、コインそのものの希少性が価格を上げていた!
ジェームズ・マッカートニー氏の言う「コインの破壊」というのは、アンティークコイン等でいう溶解や破損のことではありません。
要は、ホログラムをはがして秘密鍵を取得し、暗号通貨に変換してしまうことを指します。
現在、ビットコインの価格が上昇するにつれ、ビットコイン取得のためにコインの破壊を行う人が増え、「未開封(Unpeeled/Unredeemed)」状態の物理的暗号通貨が減少している、という現状があります。
そのため、今回のカサシウスコインのように状態の良い物理的暗号通貨の希少性が上がってきている、という減少が起こるのです。
監修者 葉山満
物理的暗号通貨はじゅうぶんに「骨董的価値」のあるコインになり得る

今回のニュースで特筆すべきは、単にビットコインが高騰したから高値がついたわけではない、ということです。
カサシウスコインそのものが持つ、「希少性」がコイン額面より1万ドルも価格を吊り上げたことになります。
同オークションで出品されたされた他の物理的暗号通貨、BTCC「ポーカーチップ」にいたってては、額面の倍の価格で落札されています。
「コインそのものの骨董的価値」が、物理的暗号通貨の価値をこのように上げているところを見ると、物理的暗号通貨も十分にアンティークコイン市場での確固たる地位を確立している、といっても過言ではないでしょう。
まとめ
今回は、2025年6月に開催されたオークションで史上最高価格の落札額を記録した物理的暗号通貨、「カサシウス」について解説しました。
発行当時の価値の1,000倍でカサシウスコインが落札されたことが注目されがちですが、アンティークコイン投資家として注目すべきは、そこではありません。
今回のニュースで注目すべきは『額面価格より1万ドル高く落札されたこと』。
アンティークコインの価値において非常に大切な「骨董的価値」つまり「希少性」が、比較的新しいジャンルである物理的暗号通貨にも通用した、ということです。
投資コインのひとつとして、物理的暗号通貨も注目していきたいですね。
- 物理的暗ビットコイン「カサシウス」は2011年~2013年に発行された真鍮製のコイン
- 裏面のホログラムを外すとビットコインを入手するための秘密鍵が取得できる
- 今回のオークションでカサシウスコインは額面のビットコイン価格より1万ドルも上乗せされた価格で落札された
- 上乗せされた1万ドルは物理的暗号通貨そのものの「希少性」に対してつけられたもの
- 物理的暗号通貨もアンティークコイン同様「骨董的価値」が認められるコインと言える


