コイン投資家は知っておきたい!希少なアメリカコインのオークション結果5選!

コイン投資家は知っておきたい!希少なアメリカコインのオークション結果5選!

アメリカの希少コインについて知りたい!
高額で落札されるアメリカコインにはどのようなものがあるの?
希少とされるコインは何で希少なのか勉強したい!

 

ヘリテージオークションによって2025年1月に開催された「2025 Winter Florida United Numismatists (FUN) Show」

アメリカで発行されたコインを中心としたオークションで、大成功を納めました。

今回は、その「2025 Winter Florida United Numismatists (FUN) Show」にて特に注目を集めた5つのコインについて、アメリカのコイン情報サイト『COIN WEEK』に掲載された記事を元に解説していきます。

『COIN WEEK』の記事はこちら:https://coinweek.com/five-coin-rare-coin-auction-results-you-should-know/

 

今回ご紹介するコインは、こちらです。

 

・1894年サンフランシスコ鋳造バーバーダイム銀貨

・1927年デンバー鋳造 セント・ゴーデンズ・ダブルイーグル

・1849年シャーロット鋳造1ドル金貨

・1884年トレード・ダラー

・1943年リンカーンペニー銅貨

これらのコインの中には100万ドル以上の価格で落札されたものも多くあり、非常に注目を集めました。

どのようなコインなのか、なぜ注目を集め高額で落札されたのか、などをご紹介します。

 

希少なアメリカコインのオークション結果5選!ざっくり言うと
  • 1894年サンフランシスコ鋳造バーバーダイム銀貨はわずか24枚しか発行されていない
  • 1927年デンバー鋳造 セント・ゴーデンズ・ダブルイーグルは政策により15枚を残してそのほとんどが溶かされてしまった
  • 1849年シャーロット鋳造1ドル金貨は現存数わずか4枚の中でもとりわけ美品
  • 1884年トレード・ダラーはその年に発行されたものが10枚しかない
  • 1943年のリンカーンペニー銅貨は誤って発行されたもの

 

監修者 葉山満

アンティークコインのコレクターや投資家ならぜひ知っておきたいコインばかりなのでぜひお読みください!

アメリカのコインに関して、ぜひこちらの記事も参考にしてくださいね。

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ヘリテージオークションに関する記事はこちらです。

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1894年サンフランシスコ鋳造バーバーダイム銀貨【1894-S Barber Dime】

1894年サンフランシスコ鋳造バーバーダイム銀貨

1894年サンフランシスコ鋳造のバーバーダイム銀貨215万ドルで落札されました。

1894-S_Barber_Dime_Eliasberg

出典:Heritage Auctions/CoinWeek

アメリカの著名なコイン専門家、ジェフ・ギャレットとロン・ガスによる2024年版『100 Greatest U.S. Coins』ではトップ10入りをはたしており、当オークションの目玉商品として注目を集めていたコインです。

 

 希少性について

何と言ってもこのコインは、たった24枚しか発行されていないという超希少品であり、多くのコインコレクター垂涎の的になっていました。

なぜ、サンフランシスコ造幣局が24枚しかこのバーバーダイム銀貨を鋳造しなかったのか、については所説ありますが未だ謎に包まれたままです。

 

流通用コインだけでなく、プルーフコインも含めて存在するこの24枚ですが、サンフランシスコ造幣局がプルーフコインを発行していたことも謎のひとつとされています。

というのも、サンフランシスコ造幣局は1968年以降はプルーフコインを手がけているものの、このコインが発行された1894年当時は主にフィラデルフィア造幣局がプルーフコインの発行を担当していたのです。

 

 エピソード

1894年サンフランシスコ鋳造のバーバーダイム銀貨は、近年では100万ドルを超える価値のある希少コインとして確固たる地位を築いています

コイン収集家であるブルース・モーランが2021年に180万ドルで購入した際には、彼のパートナーであるLegend Numismaticsのローラ・スパーバーが「これで彼はアメリカコイン界の三大レアコインをすべて手に入れた」とコメントしました。

彼女の言う三大コインとは、1804年のドラペッドバスト・ダラー1913年のリバティヘッド・ニッケル、そしてこの1894年サンフランシスコ鋳造のバーバーダイム銀貨です。

 

 当出品コインの経歴

今回出品された1894年サンフランシスコ鋳造のバーバーダイム銀貨は、著名な収集家であるジョン・クラップが所有していた2枚のうちの1枚です。

1942年にルイス・イライアスバーグがハーヴェイ・スタックスの協力を得て入手した過去もあります。

他にも、ダン・ローゼンタールやジェームズ・A・スタックなどの所有者を経ています。

この「1894-S Barber Dime」は最上級のグレードと称されていますが、実際にはもう1枚、同グレードのものが存在していることを覚えておきましょう。

 

『COIN WEEK』が観測した、今回以外に直近でこのコインが落札されたときの金額は199万7,500ドルとされています。

インフレを考慮すると、現在の価値で約266万1,000ドルに相当し、驚くことにこの9年間で約18%価値が下落したことになります。

 

監修者 葉山満

単純に金額としては上がっているものの、インフレを考慮すると価値が下がっている…。非常に希少で人気のあるコインですが、価値の下落は不思議ですね。

 

コインの経歴も、価値に関わる重要な要素です。ぜひこちらの記事もご参照ください。

アンティークコインの価値を上げる?コレクションやオークションの履歴とは? アンティークコインの価値を上げる?コレクションやオークションの履歴とは?

1927年デンバー鋳造 セント・ゴーデンズ・ダブルイーグル【1927-D Saint Gaudens Double Eagle】

1927年デンバー鋳造 セント・ゴーデンズ・ダブルイーグル

1927年デンバー鋳造のセント・ゴーデンズ・ダブルイーグル384万ドルで落札されました。

添付ファイルの詳細 1927-D_Saint-Gaudens_Double_Eagle

出典:GreatCollections ※現在はスラブケースが変更されています。

当オークション後のプレリリースにおいて、GreatCollectionsのイアン・ラッセルが1927年デンバー鋳造のセント・ゴーデンズ・ダブルイーグルを自社で落札したことを報告しました。

イアン・ラッセルは当コインと、自社の所有する1933年ダブルイーグルを同じコレクションとして収めたと語っています。

一緒に保管されている1933年ダブルイーグル、世界で唯一合法的な所持が許されているものであり、2021年に1,890万ドルという記録的な価格で取得したことで知られています。

 

384万ドルという落札額は、非常に話題を呼んだ2021年8月にウィッター・コインが個人的にPCGS MS66+ CACのイライアスバーグを売却した際の310万ドルをははるかに上回っており、非常に高額だと言えるでしょう。

希少コイン市場は今なお非常に活発だと言える例のひとつです。

 

 希少性について

この1927年デンバー鋳造のセント・ゴーデンズ・ダブルイーグルは非常に上質な逸品であり、最上級品ではないものの1927年発行の中でも最高位クラスのものです。

1927年に18万枚も鋳造されたセント・ゴールデンズ・ダブルイーグルですが、1933年にルーズベルト政権下において金貨の回収が行われた際におよそ15枚を残してそのほとんどが溶かされてしまいました

 

 当出品コインの経歴

当コインは、過去20年間の間に少なくとも4回以上取引されていることがわかっています。

グレードはMS65周辺を推移しており、現在はPCGS CACにおいてMS65+の評価です。

グレッグ・レイノルズは実際に当コインを幾度か確認しており、「このコインのグレードはちょうど65の中間くらいで、非常に魅力的なコインである。」と評しています。

 

1849年シャーロット鋳造1ドル金貨(オープン・リース)【1849-C Gold Dollar, Open Wreath】

1849年シャーロット鋳造1ドル金貨(オープン・リース)

1849年のシャーロット鋳造1ドル金貨は156万ドルで落札されました。

1849-C_Gold_Dollar

出典:Heritage Auctions/CoinWeek

シャーロット造幣局で発行された金貨の中で、最も希少とされるコインです。

メガ・コレクターのデル・ロイ・ハンセンにとって最も重要なターゲットとなっており、当コインを落札したことによって、彼のシャーロット造幣局金貨コレクションは完成となりました。

ハンセンは、1972年以降に発行された高品質なアメリカの通常発行コインを全てそろえることにより、偉大なルイス・イライアスバーグを超えることを目指しているのです。

 

今回の落札について、DLRC(David Lawrence Rare Coins)社長のジョン・ブラッシュは

「この幻のような希少コインを手に入れるチャンスは、まさにあの素晴らしい【シャーロット造幣局コレクション】における“完璧な最後の締めくくり”のようなものだと言えます。

私はかつてシャーロット造幣局があった場所から車で2時間もかからない場所で育ったので、この造幣局のコインには特別な思い入れがあるのです。」

と語りました。

 

シャーロット造幣局金貨コレクションの完成のため、今後もハンセンは希少でグレードの高いコインを巡って多くのコレクターと戦うことになるでしょう。

コレクションは資金力以上に入手するための“チャンス”を要するものです。

 

 希少性について

156万ドルという落札額は、このタイプのコインの金額としては非常に記録的な価格です。

同種のコインの現存数はわずか4枚しかなく、そのうち未使用であるミントステートの状態なのは当コインの1枚のみ

他の3枚については、PCGS AU58のものと、PCGS XF40評価のもの、そして大きくダメージを受け摩耗しているものしかありません。

 

1884年トレード・ダラー【1884 Trade Dollar】

1884年トレード・ダラー

1884年のトレード・ダラーは、114万ドルで落札されました。

1884_Trade_Dollar

出典:Heritage Auctions/CoinWeek

トレード・ダラーは、かつて貿易促進のために一定期間のみ発行されていたコインで、プルーフコインも多く存在します。

しかし、当コインは非常に希少な逸品です。

現在、トレード・ダラー市場はやや競争が落ち着いているように見えますが、このコインの落札者は、将来的な成長の可能性を秘めたアメリカの大珍品を手に入れた、と言えるのではないでしょうか。

 

 トレード・ダラーの歴史

1970年代には、これまで主流だった1ドル銀貨が下火となり、アジアとの貿易促進のためにトレード・ダラーの製造が議会で承認されることになりました。

トレード・ダラーは重さ420グレーン(約27.2g)・純度90%の銀貨で、主にサンフランシスコ造幣局で鋳造されました。

しかし、1878年に議会がラザフォード・ヘイズ大統領の拒否権を覆したことで、再び1ドル銀貨の鋳造が行われることに。

これによってトレード・ダラーは役目を終え、以降はコレクター向けにプルーフ硬貨を発行するのみとなったのです。

 

 希少性について

1879年から1883年にかけて製造されたトレード・ダラーのプルーフ硬貨は比較的流通していて、オークションやディーラーの在庫でも割と見かけることができます。

しかし、当コインのように1884年発行のものと、翌年の1885年に発行されたものは別格です。

なぜなら、1884年は10枚、1885年は5枚と非常に少数しか発行されていないからです。

 

 当出品コインの経歴

今回出品された1884年のトレード・ダラーは、元々はフィラデルフィア造幣局の監督官だったA. ラウドン・スノーデンが所有していたものです。

そして最初に当コインが注目されたのは、Numismatic Galleryによる「アドルフ・マンジュー・セール」でした。

マンジューは希少コインに対して多少の興味を持っていたものの、その時に出品されたコインの多くは彼の所持品ではなかったと言われています。

 

他に当コインを所有していたのは、W.G. バルデンホーファー、サミュエル・ウルフソン、ジャック・リーなどです。

2005年から2014年の間に価値が39%上昇し、その後の10年間では15%の下落を見せました。

 

1943年リンカーンペニー銅貨【1943 Lincoln Copper Penny】

1943年リンカーンペニー銅貨

1943年リンカーンペニー銅貨は、26万4,000ドルで落札されました。

1943_Lincoln_Copper_Penny

出典:Heritage Auctions/CoinWeek

 

 希少性について

1943年のリンカーンペニー銅貨は、20世紀アメリカコインの中でも最もコレクターが欲しがる品のひとつといえます。

1982年以前の1セントが銅貨であったため、一見普通のリンカーンセントのように見えますが、このペニーは本来銀白色の亜鉛メッキスチールで鋳造される予定のものでした。

しかし、スチール製での鋳造が失敗に終わり、財務省は1944年に再び銅貨での発行を決めたのです。

 

1944年より銅貨として発行されるようになったものの、ごくごく少数の1943年発行ペニー銅貨が全ての造幣局で誤って鋳造されたと言われています。

中でもデンバー鋳造の「1943-D」は非常にレアな存在です。

1943年発行のペニー銅貨のほとんどは、年号の下に造幣局記号の無いフィラデルフィア鋳造のものですが、それでもわずか20枚ほどしか発見されていません。

 

 当出品コインの経歴

今回のヘリテージFUNオークションに出品された当コインは、PCGS AU55の評価を受けており、ほんのわずかな摩耗が見られるものの良好な状態です。

先述の通り、1943年発行のリンカーンペニー銅貨、特にデンバー鋳造のものは非常に希少であり、これほど状態の良いものはウォンカチョコレートの金のチケットを引き当てるほどレアな品と言えます。

しかしながら、落札額はわずか26万4,000ドル。

この価格は、インフレ調整後の2021年にセントラル・ステーツで落札された際の価格を下回っています。

ちなみに、その時の当コインのグレードはNGC AU55 CAC、パトリック・コレクションの一部として出品されていました。

その時は他にもう1枚、1943年リンカーンペニー銅貨が出品されていたと記録されています。

 

まとめ

今回は、2025年冬に行われたヘリテージFUNオークションにて、特に注目を集めた5つのアメリカコインについて『COIN WEEK』の記事を参考にご紹介しました。

いずれも発行枚数や現存枚数が非常に少ないレアなコイン。

中でも状態が良いものが多いため、熱心なコレクターや著名コレクターにより注目を集めてきました。

一見、ヨーロッパに比べ歴史が浅いように思えるアメリカコインですが、歴史的背景や造幣局の事情などによってレア度が変わるなど、奥深さがあることがわかりましたよね。

アンティークコイン投資やコレクションを始めた方はぜひ、今後アメリカの希少なコインにもフィーチャーしてみてください!

 

希少なアメリカコインのオークション結果5選!まとめ
  • 1894年サンフランシスコ鋳造バーバーダイム銀貨はわずか24枚しか発行されていない
  • 1927年デンバー鋳造 セント・ゴーデンズ・ダブルイーグルは政策により15枚を残してそのほとんどが溶かされてしまった
  • 1849年シャーロット鋳造1ドル金貨は現存数わずか4枚の中でもとりわけ美品
  • 1884年トレード・ダラーはその年に発行されたものが10枚しかない
  • 1943年のリンカーンペニー銅貨は誤って発行されたもの

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