アメリカ発のニュースサイト「ギズモード」のスペイン語版記事によると、今年1月、イスラエルの小さな村でガリラヤ中世に大切にされていたコインが300枚以上も発見されたとのこと。
今回は、ギズモードスペイン語版の記事を参考に、一体どのようなコインが発見されたのか?発見の背景は?など詳しく解説していきます!
- イスラエルの小さな村フククで中世の金貨・銀貨364枚が発見された
- 発見されたコインはヴェネツィアのドゥカート、マムルーク朝のディナール、そしてヨーロッパの装飾品として使用されたとみられる貨幣等
- 発見されたコインや遺物の多様性からフククは田舎でありながらも中世の商業動態において重要な役割を担っていた可能性がある
- 発見物について誰が何のために所持していたのかは不明
ガリラヤ中世の宝物を発見!
イスラエルの小さなフクク(Huqoq)という集落にある、シナゴーク(ユダヤ教の教会的存在である会堂)のすぐそばで、中世の金貨・銀貨合計364枚が発見されました。
発見物近くのシナゴークの役割
まずは、発見物近くのシナゴークの役割について解説します。
この建物はローマ時代に最初に建てられ、14世紀に拡張されたという過去がありました。
巡礼地としての重要性が当時高まったため、拡張されたと考えられています。
研究によれば、このシナゴーグは「預言者ハバクク」の墓に関連している可能性があります。
「預言者ハバクク」とは、旧約聖書の中の預言書のひとつである、ハバクク書で預言を行っている人物のこと。
ハバクク書は三章しかない短いものですが、のちのキリスト教に大きな影響を与えました。
また、ユダヤ教において非常に重要視される書でもあります。
また、フククで発見された建築遺構やモザイク画は、当時の住民の文化的・宗教的生活を詳細に映し出しています。

画像引用元:https://es.gizmodo.com/
ノアの箱舟やバベルの塔など、聖書の物語を描いた図像は、ユダヤ教後期との深いつながりを示しているのです。
そのため、このシナゴークには当時イスラム教徒だけでなくユダヤ教徒も訪れていたようです。
また14世紀に拡張されたという事実は、この地域が時代の変化にしなやかに対応してきたことを物語っています。
どのようなコインが発見された?

画像引用元:https://es.gizmodo.com/
発見されたコインは2つの小さな陶器の壺に丁寧に保管された状態で発見され、崩れた壁の近くの地中に埋められていました。
発見されたコインには、ヴェネツィアのドゥカート、マムルーク朝のディナール、そしてヨーロッパの装飾品として使用されたとみられる貨幣が含まれています。
この発見によって何がわかる?
この発見により、中世のこの地域の商業、宗教、文化的共存の様子について今までわからなかった部分が見えてきました。
コインが発見されたフククは中世当時、マムルーク朝によって整備された重要な交易路の途中にあり、ダマスカスやカイロなどの都市とつながっていました。
発見されたコインが多様な貨幣構成であったため、フククが地中海の主要交易ルートと結びついていたことがわかります。
ヴェネツィアのドゥカートには、精緻な宗教的図像が刻まれており、ヨーロッパの商業的影響力を象徴しています。
一方、マムルークのディナールは、この帝国が地域で果たしていた重要な役割を浮き彫りにしています。
フククが田舎でありながらも、中世の商業動態において重要な役割を担っていた可能性を非常に高める発見となったのです。
歴史的背景から読み取ると、中世当時、フククはマムルーク朝によって整備された重要な交易路の途中にあり、ダマスカスやカイロなどの都市とつながっていました。
この交易路は物資の交換だけでなく、文化や思想の流通も促進していたとされており、発見されたコインや遺物の多様性からもそれが伺えます。
発見されたコインが持つ謎
発見されたコインにより、この地域が中世で非常に重要な役割を果たしていたことが確認されました。
しかし、このコインは一体誰のものだったのか?なぜ地中に埋められていたのか?といった謎については、未だ解明されていません。
ある説では、これらのコインはこの地域を通過した商人や巡礼者の資金だった可能性があるとされています。
別の説では、地域の裕福な住民が不安定な時代に財産を隠したのではないかとも考えられています。
まとめ
このフククの宝とシナゴーグは、中世ガリラヤに対する我々の理解を大きく変えました。
その物理的な価値を超え、これらのコインや建築遺構は、多様な文化と宗教が共存していた歴史を語りかけています。
発掘が完了した今、地元当局はこの場所を観光および教育の拠点として整備する計画を進めています。
ガリラヤのこの一角は、地中海史の魅力的な一面を探求したい人々にとって、東西の交差点だった小さな田舎町の役割を物語る場所となるでしょう。
監修者 葉山満
発見されたコインをきっかけにその土地が活性化していくのも素敵です!
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- 発見されたコインはヴェネツィアのドゥカート、マムルーク朝のディナール、そしてヨーロッパの装飾品として使用されたとみられる貨幣等
- 発見されたコインや遺物の多様性からフククは田舎でありながらも中世の商業動態において重要な役割を担っていた可能性がある
- 発見物について誰が何のために所持していたのかは不明