→実際にNGCに問い合わせしてみました!
少し前に、とあるYouTubeでNGCがアンティークコインの真贋を保証しないことが伝えられ、話題になりました。
NGCといえば、PCGSと並ぶ2大コイン鑑定機関のひとつ。
NGCのスラブケースに入ったアンティークコインは非常に信頼度が高いこともアンティークコインに興味のある人なら知らない人はいないでしょう。
そのNGCが真贋保証をしていない、ということで不安に思った人も多いかもしれません。
そこで、当ブログはNGCへ直接、真贋保証をしていないことについて質問してみました。
今回はその問い合わせ結果や、真贋保証をしていないからといってNGCが信頼が出来ないのか否か、についてご紹介します。
NGCの真贋保証について気になっている方はぜひ参考にしてくださいね。
- NGCは確かに古代コインの真贋保証をしていないとホームページに明記している
- 当ブログもその件について問い合わせてみた!回答を公開
- 真贋保証をしないからといってNGCでの鑑定には十分に意義がある
- NGCにアンティークコインの鑑定依頼方法を紹介
目次
そもそもNGCとは?
NGCの概要をご紹介します。
- アメリカを本拠地とするコインの第三者格付け鑑定機関
- NGCの他にPCGSというコイン鑑定機関もある
- 現在信頼のおける大きなコイン鑑定機関はNGCとPCGSの2つ
正式名称 | Numismatic Guaranty Corporation |
創立年 | 1987年 |
本拠地 | アメリカ フロリダ州 |
累計鑑定コイン枚数 | 5,800万枚以上 |
NGCは、アメリカを本拠地とするコインの第三者格付けサービスを行う機関です。
正式名称はNumismatic Guaranty Corporationで、頭文字を取ってNGCと呼ばれています。
1987年に設立され、これまで5,800万枚以上のコインを鑑定しています。
世界中からコイン鑑定の依頼を受けており、依頼元の大半は北米、アジア、ヨーロッパです。
NGCでは、鑑定するコインの状態から全70段階あるグレードから該当コインのグレードを決め、スラブケースというケースに入れます。
スラブケースとは、このようなケースのことです。
スラブケースは、アンティークコインを保護する役割を果たしているだけでなく、コインの鋳造年や発行国、コインの素材、種類、グレード、識別番号が記載されています。
そのため、見るだけでアンティークコインがどのような状態かがわかるようになっていることがスラブケースの特徴です。
識別番号は、NGCのホームページに入力するとコインの情報が表示されるようになります。
もう一方のコイン鑑定機関PCGS
コインの鑑定機関には、NGCの他にPCGSがあります。
PCGSの該当をご紹介します。
正式名称 | Professional Coin Grading Service |
創立年 | 1986年 |
本拠地 | アメリカ フロリダ州 |
PCGSは、1986年に設立されたコイン鑑定機関です。
アンティークコインを70段階にグレーディングすることを最初に発案した機関とされています。
こちらも、コインの鑑定を依頼でき、鑑定したコインをスラブケースに入れてくれます。
NGCも採用しているスラブケースは、スミソニアン博物館とPCGSが共同開発したものです。
現在コインの鑑定をしている大きな機関はNGCとPCGSの2つ
現在アンティークコインの鑑定をしてくれる大きな機関はNGCとPCGSの2つです。
NGCとPCGSの違いは、PCGSの方が鑑定が厳しいと言われていることです。
また、PCGSは古代コインの鑑定は行っていませんが、NGCは古代コインの鑑定も行っています。
NGCの方が比較的鑑定するアンティークコインの幅が広く、鑑定依頼をしやすい鑑定機関と言えるかもしれません。
Private: アンティークコインを鑑定するメリットと重要性を解説!【NGCとPCGS】
監修者 葉山満
NGCは古代コインの真贋を保証しないことが話題に
信頼のおけるコイン鑑定機関であるNGC。
しかし、NGCは古代コインの真贋を保証しない、ということが一時話題にのぼりました。
- 話題のきっかけとなったのはとあるYouTube
- NGCの公式ホームページにも古代コインの真贋保証をしないことが明記されている
きっかけとなったのは、アンティークコイン投資を勧める企業によるYouTubeです。
動画でNGCが古代コインの真贋保証をしないことについてを取り上げ、偽物の古代コインについての注意喚起をうながしています。
NGCは本当に古代コインの真贋を保証してくれないのでしょうか?
NGC公式ホームページにもその旨が記載されている
実は、NGCの公式ホームページにも、古代コインの真贋保証はしないことが記載されています。
こちらのページ「NGC ANCIENTS: GUARANTEE」に記載されているので読んでいきましょう。
「NGCは本物のコインのみをグレーディングするようつとめていますが、真贋や帰属を保証するものではなく、また、それらの側面においていかなる保証も暗示しません。」
このように、NGCは本物のコインだけを取り扱いグレーディングするようにしていますが、真贋を保証しているわけではありません、とはっきり記載されているのです。
以降は古代コインの真贋保証の難しさについても記載されており、簡単に解説すると、
「現時点でも古代コインに関しては歴史的にわからないことがまだまだ多く、新たに歴史的発見がされれば真贋を見極める基準がまた変わる可能性もある。」
ということが書かれています。
監修者 葉山満
コメント:
NGCに問い合わせてみた回答を公開!
NGCは真贋保証をしないの!?と不安に思う人も多いかもしれません。
そこで、筆者は皆さんに代わってNGCに真贋保証の件について問い合わせてみました。
- NGCは古代コインの真贋保証はしませんが、NGC独自の分析により最高水準の鑑定結果を提供しています。
NGCからの回答を公開!
NGCへの問い合わせ内容は、NGCが公式ホームページに記載している内容を受けて、
「古代コインについては真贋の保証はしないけど、 NGCとしては本物と判断してスラブに保管している、
という認識でよろしいでしょうか?」
という形にさせていただきました。
解答はこちらです。
「NGCの保証は、鑑定された古代コインには適用されないということになります。
つまり、古代コインの場合はNGCの保証は利用できません。
ただし、NGCは古代コインに対しても独立した分析と評価を行っており、その結果を鑑定書として提供しています。
そのため、NGCによる古代コインの鑑定は、業界内においても最高水準のプロテクションを提供していると言えるでしょう。」
古代コインの真贋については保証されていない
解答からも、NGCは古代コインの真贋についての保証はしていないことがわかりました。
しかしNGCは、NGCの持つ鑑定基準を使って古代コインを鑑定しているわけです。
そのため、NGCがグレーディングした古代コインは、真贋保証はされていないものの、NGCが本物だと判断したものであると認識して良いのではないでしょうか。
NGCで古代コインを鑑定する意義は十分にある!
NGCで古代コインの真贋保証をしてもらえないからといって、NGCでコイン鑑定をする意味がないわけではありません。
真贋保証が無くても、NGCで古代コインを鑑定してもらう意義が十分にある理由を解説します。
- NGCが真贋保証をしないからといってNGCの鑑定したコインが全て偽物であるということにはならない
- NGCは本物であることを前提としたコインしかグレーディングしない
- 現在においてアンティークコインを測るものさしはNGCとPCGSをおいて他にない
真贋保証しない=偽物ということではない
まず、NGCが真贋保証をしていないからといって、偽物と判断したものを本物としてグレーディングするわけではない、という事実が重要です。
NGCが真贋保証をしていないことすなわちNGCの鑑定した古代コインが全て偽物であるということには決してなりません。
本物であることを前提として鑑定を行っている
NGCは、本物であると認識した古代コインに対してのみ鑑定を行っています。
公式ホームページにはっきりと真贋保証はしていない旨が書かれていますが、それ以降の文章を読み進めると、
といった内容が書かれています。
そのため、真贋保証こそされないものの、NGCで鑑定を受けたコインはNGCが本物だと判定したコインと言えるでしょう。
NGCは現在アンティークコインを測るものさしとして非常に有効
そもそもNGCは現在、アンティークコインの価値を測るものさしとして非常に有効な機関です。
35年以上の歴史を持ち、圧倒的な信頼を寄せられるコイン鑑定機関は現在のところNGCとPCGSのみ。
世界トップクラスの鑑定士が鑑定を行っている機関のため、
長さはものさしで測れますが、現在アンティークコインをはかるものさしはNGCとPCGSをおいて他にありません。
監修者 葉山満
NGCにアンティークコインの鑑定をしてもらう方法を紹介!
それでは、NGCにアンティークコインの鑑定をしてもらうためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
NGCにアンティークコイン鑑定をしてもらう方法を紹介します。
- 鑑定代行サービスを利用する
- 自分で鑑定依頼をする
鑑定代行サービスを利用する
まずは、日本の鑑定代行サービスを利用してNGCでアンティークコインを鑑定してもらう方法があります。
日本のディーラーやアンティークコインショップなどでは、NGCへの鑑定代行サービスを行っているところが複数あります。
直接代行サービスをしてくれるところに持っていったり、郵送したりして依頼するのが一般的です。
その場合、NGCで鑑定したもらった際かかった費用(鑑定料など)の他に、代行手数料を支払う必要があります。
自分で鑑定依頼をする
もちろん、自分で直接NGCに鑑定依頼できます。
自分でNGCに鑑定依頼を行う場合の手順は、下記の通りです。
1:NGCのサイトで会員登録する
まずはNGCのサイトから会員登録を行います。
NGCの会員は、無料のものから年間299ドル支払うものまで、全部で4段階に分かれています。
無料会員でも鑑定依頼はできるため、安心です。
有料会員になれば、鑑定するコインをいつでも追跡できるなどさまざまサービスが利用できます。
会員登録について詳しくはぜひ公式ホームページのこちらをご覧ください。
2:どのような鑑定をしてもらうのか決める
次に、どのような鑑定をしてもらうのかを決めます。
何年以降に発行されたコインを鑑定してほしいのか、コインは金なのか、どのようなスラブケースに入れてもらうか、などさまざまな鑑定タイプや鑑定グレードがあり、料金もそれぞれ異なります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
3:提出用のフォームに記入する
指定の提出用のフォームに必要事項を記入します。
フォームを印刷して記入するか、オンラインフォームにて必要事項を提出するかから選べます
必要事項は主に下記の通りです。
- 会員情報
- 返送先住所
- 希望の鑑定タイプ・グレード
- コインの詳細情報
- 支払い方法 など
4:発送準備をしてNGCに送る
最後に、発送準備をしてNGCにコインを送ります。
実は日本には公式の提出用センターが存在する!
自分でNGCへ発送する方法をご紹介しましたが、実は日本にNGC公式の提出用センターが用意されています。
直接NGCの本部へコインを送ることに不安がある人は、日本の提出用センターに提出することで本部へ送ってもらえるのです。
まずはNGCの会員登録をして、日本の提出用センターへ問い合わせてみましょう。
真贋が気になる場合はIBSCCに鑑定依頼をするのも
NGCは真贋の保証をしないものの、アンティークコインを鑑定してもらう上で非常に信頼の置ける機関です。
そのため、NGCで鑑定してもらったコインはほとんどの場合、本物と見なされ流通していると思います。
しかし、どうしても真贋保証だけが必要だ!という場合は、IBSCCという機関を利用してみるのはいかがでしょうか。
IBSCCは、スイスにあるコイン鑑定機関、IAPNが持つ部門のひとつです。
しかし、真贋保証をしてもらうためにはまずメールでの問い合わせが必要になり、利用するには非常にハードルが高いと言えるでしょう。
まとめ
今回は、NGCが古代コインの真贋保証をしないのかどうかについて解説してきました。
確かに、NGCは自身のサイトにおいても、真贋の保証はしないことを明記しています。
なぜなら、古代コインの歴史的見解などは今後も新たな発見により変化する可能性があるためです。
当ブログでは、実際にNGCへ問い合わせを行いました。
NGCからの回答は「真贋保証を行っていないが、NGCの持つ鑑定基準により本物と判断したものをグレーディングしている」という内容のものでした。
NGCは業界最高水準の鑑定機関を持つ組織です。
そのNGCが本物と判断してグレーディングしたコインのみが、NGCのスラブケースへ入れられます。
そのため、真贋保証をしていないからといって、NGCでの鑑定に意味がないわけでは決してありません。
最も信頼の置けるコイン鑑定機関のひとつであるNGCの鑑定結果は、アンティークコイン業界において非常に有効なのです。
- NGCは確かに古代コインの真贋保証をしていないとホームページに明記している
- 当ブログもその件について問い合わせた結果、「真贋保証を行っていないが、NGCの持つ鑑定基準により本物と判断したものをグレーディングしている」という内容の回答をもらった
- 真贋保証をしないからといってNGCでの鑑定には十分に意義がある
- この記事を参考にNGCにアンティークコインの鑑定依頼をしてみよう