エレクトロン貨 ってなに?

今日は古代コインのなかでも特に魅力的なエレクトロン金貨についてご説明したいと思います。

エレクトロンとは

「エレクトロン」とは、ギリシア語で「琥珀」という意味。

そして金と銀の天然合金の色合いが琥珀に似ていることから「エレクトラム」と言う言葉が生まれました。

このことから、16世紀のイギリス人物理学者ウイリアム・ギルバートが電気を「エレクトリック」と名づけています。

その「エレクトラム」を鋳造して作られたコイン「エレクトロン貨」は今から2600年以上前の紀元前7世紀頃、リディア(Lydia)で発明されたのです。

その頃の日本はと言いますと、縄文時代晩期、紀元前660年に初代神武天皇が即位しています。

リディアのエレクトロン貨である「エレクトラム スタテル金貨」はバクトーロス川の河床から豊富に得られた砂金からできています。

エレクトラム スタテル金貨

エレクトラム スタテル金貨

表面にはアリュアッテス2世=リディア王国の象徴であるライオンと太陽の紋章、裏面には2つの四角または長方形の極印(インキューズ)を刻印したものです。

コレクターであればいつか1枚は手に入れたいまさにコインの象徴ともいえるスタテル金貨。

現存数も非常に少なく人気もあることから現在は滅多にお目にかかることが出来なくなっています。

その後紀元前6世紀の中頃にはリディア王クロイソス(Croesus)は通貨改革を行い、それまでのエレクトロン貨を廃し、金貨と銀貨から成る通貨制度を世界で初めて導入したとされています。
リディア王

古代ギリシャの歴史家ヘロドトス(Herodotus)はリディア人のことを、「 我々の知る限りでは、金銀の貨幣を鋳造して使用した最初の人々であり、また最初の小売り商人でもあった。」と記述しています。
彫刻

その後、リディア近くのエーゲ海に浮かぶレスボス島にもエレクトロン貨である「エレクトラム へクテ金貨」が生まれることになります。

見飽きることの無い秀逸なデザイン、非常に種類が多く希少価値もありますのでコレクションにはとてもお勧めできます。

この「コイン」と言う人類最高のアイデアは、マネーとして、東はインダス、西はスペイン、南はエジプト、最終的には、西ヨーロッパや英国にまで広がり、それ以降の世界史は、基本的にコインを中心に回っていくことになります。