史上最高価格の8億3500万円で落札された古代コインとは!?

いつどこで史上最高価格の古代コインが落札されたの?
史上最高価格の古代コインってどんなコイン?
なぜ史上最高価格になったの?

2023年5月にスイスで行われたコインオークションで、2000年以上前のギリシャの古代コインが高額で落札され、話題を呼びました。

その落札価格は日本円でおよそ8億3500万円で、これは古代コインの史上最高価格となります。

今回は、その史上最高価格の古代コインについて、なぜそのような価格がついたのか、などを解説します。

 

史上最高価格の8億3500万円で落札された古代コインざっくりいうと
  • 2023年5月スイスの「Numismatica Ars Classica」で出品された古代コインが史上最高価格の8億3500万円で落札された
  • 史上最高価格で落札された古代コインは、紀元前380年から304年に鋳造された古代ギリシャのコイン
  • 史上最高価格で落札されたポイントは、デザインの珍しさと美しさ、あとはスターリンによって売却されたことや有名なコレクター品であったという歴史

 

ギリシャの古代コインが史上最高価格で落札!

ギリシャの古代コインが史上最高価格で落札されたことについて概要をご紹介します。

 

ギリシャの古代コインが最高価格で落札!ざっくりいうと
  • 2023年5月スイスの「Numismatica Ars Classica」オークションで出品された古代コインが史上最高価格の8億3500万円で落札された
  • 「Numismatica Ars Classica」は1988年スイスで設立され定期的にコインオークションを行う機関
  • 過去に最高価格で落札された古代コインは2020年に420万ドルで落札された古代ギリシャの「イード・マール」だが、出品者が逮捕されコインはギリシャに送還された
  • 史上最高価格のコインは1933年に発行された「ダブル・イーグル」でおよそ20億7千900万円

 

2023年5月にスイスで「Numismatica Ars Classica」による古代コインオークションが開催され、そこで出品された古代ギリシャコインが539万スイスフランにて落札されました。

538万スイスフランは、2023年5月のレートに換算すると、日本円でおよそ8億3500万円です。

この古代コインは、過去にオークションで落札された古代コインの中で一番高い落札価格となりました。

出品前の見積もりでは、125万スイスフランを予想されていたため、予想の4倍以上の金額で落札されたことになります。

 

「Numismatica Ars Classica」オークションの共同ディレクターであるArturo Russo氏は、この驚異的な結果について非常に満足していることを述べ、この結果は、コイン市場が活性化していることや現在は特に古代コインに注目が集まっていることが原因であると分析しました。

 

落札されたコインは、紀元前380年から304年ごろに鋳造されたもの非常に状態も良く、長らくエルミタージュ美術館で保管されていたこと、スターリンによって売却された歴史があることなどで注目を集めていました。

 

スイスのオークション開催企業Numismatica Ars Classicaとは

Numismatica Ars Classicaは、1988年にスイスのチューリッヒで設立され、翌年1989年に初のオークションを開催しました。

主にローマ、ギリシャ、ビザンチン、イタリアの古代コインをメインに取り扱っています。

現在は春と秋の年に2回、チューリッヒの高級ホテル、ボー・オー・ラックにて古代コインのオークションを開催しています。

またNumismatica Ars Classicaは、チューリッヒの他に、ロンドン、ミラノ、シカゴに支店を置く国際的な企業です。

古代コインに関する個人コレクションへのアドバイスなども請け負っています。

 

このコイン以前に最高価格で落札された古代コインは?

提供元:Mirror

 

2023年5月に出品されたギリシャコインはおよそ8億3500万円という価格で落札され、古代コインとして史上最高価格を更新しました。

それ以前に最高価格で落札されたとされる古代コインは、「イード・マール」と呼ばれる紀元前42年に鋳造された古代ローマのコインで、2020年に420万ドルで落札されています。

しかし、このコインを出品したRoma Numismaticsのリチャード・ビール氏がコインの出所偽装などの容疑や窃盗などの容疑で逮捕されたことにより、このコインはギリシャに送還されました

 

リチャード・ビール氏の逮捕については、こちらで詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

Roma Numismatics社長逮捕!コインの出所を偽った?

 

ちなみに、古代コインではなくコイン業界全体で過去最高額で落札されたコインは、「ダブル・イーグル」と呼ばれる1933年アメリカ発行のコインです。

提供元:Sotheby’s

 

2021年6月にニューヨークのサザビーズで、1,890万ドルという高額で落札されました。

落札当時のレートに換算すると、日本円でおよそ20億7千900万円もの高額です。

この「ダブル・イーグル」はルーズベルト大統領の依頼で作成されたものの、発行されず没になったもの。

米国政府より法的に個人所有が認められている唯一のコインであることも相まって、非常に注目度の高いコインです。

監修者 葉山満

このコインの重さはおよそ9.12gだそうです。10gにも満たないコインに8億円以上の価値がつく…美術的・歴史的価値が付与される古代コインならではのロマンですね。

 

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史上最高価格で落札された古代コインとは?

それでは、今回史上最高価格で落札された古代コインについての詳細を見ていきましょう。

史上最高価格で落札された古代コインとはざっくりいうと
  • 紀元前380年から304年の間に古代ギリシャのパンティカパイオンで鋳造された
  • 表面には精霊のサテュロス、裏面には伝説上の生物グリフォンが刻印されている
  • かつてはエルミタージュ美術館のコレクションだったがスターリンに売却された

 

 

提供元:Numismatica Ars Classica

 

この古代コインは紀元前380年から304年の間に古代ギリシャの都市、パンティカパイオンにて鋳造されたものです。

パンティカパイオンは、現在のクリミア半島に位置します。

 

表面にはサテュロスの頭部裏面には槍をくわえたグリフォンが刻印されていることも特徴的です。

サテュロスは、ギリシャ神話に登場する半身半獣の森の精霊で、ボスポロス王のサテュロス1世と同じ名前であることからサテュロス1世をモデルにデザインに使用されていると言われています。

裏面のグリフォンは、鷲の上半身とライオンの下半身を持った伝説上の生き物で、コーカサス山脈に住み黄金を守ると言われていたことから使用されていると想定されています。

 

このコインはかつて、ロシアのエルミタージュ美術館にコレクションされていました。

しかし、ソビエト連邦がエルミタージュ美術館に収蔵されていた美術品を売却した際、このコインも1934年にオークションにて販売されました。

つまり、ヨシフ・スターリンによって売却されたコインのひとつとされているのです。

その後、個のコインは有名なコインコレクターであるCharles Gillet(シャルル・ジレ)により購入されました。

 

なぜ史上最高価格になったのか!?

なぜこのコインがそれほどまでに高額になったのでしょうか。

理由を解説していきます。

 

なぜ史上最高価格になったのかざっくりいうと
  • 完全に左側を向いていることの多いサテュロス像だがこのコインは4分の3ほど左側を向いている珍しいデザイン
  • 刻印がはっきりと真ん中にされており、2000年以上前のコインとは思えないほど状態が良い
  • エルミタージュ美術館の所蔵品をスターリンが売却したという歴史的価値が付与されている
  • 古代ギリシャコインに造詣が深いCharles Gillet氏のコレクションであった

 

デザインの珍しさと美しさ

まずは、デザインの珍しさや美しさに高額の理由があります。

古代ギリシャのコインにおけるサテュロス肖像は、完全に左側を向いているものが一般的ですが、このコインのサテュロスは、4分の3ほど左側を向いていることが特徴です。

これは、シラクサで発行されたキモンによる古代コインの、アレトゥーサの肖像が同じように4分の3ほど左側を向いていることからインスパイアされたとされています。

その時代の流行を踏襲したものである可能性もあります。

 

また、状態が良いこともこのコインの最大の特徴です。

非常に大きな金の地金(9.12g)にはっきりと中央に刻印がなされています

また、現在でも刻印が明確で表面の色も明るく、2000年以上前のコインとは思えないほど保存状態が良いといえるでしょう。

 

コイン自体の持つ歴史

提供元:Wikipedia

 

古代コインは、誰のコレクションであるかどういった経緯をたどってきたか、といったそのものが持つ歴史にも価値が付与されます。

このコインはエルミタージュ美術館に収蔵されたのち、ソ連政府による収蔵品売却の動きによって売却されたものです。

ソ連政府の工業化において必要な資金を調達するため、「スターリンが売却したコイン」ということで歴史的にも非常に価値のあるものとなっています。

 

また、Charles Gillet氏によるコレクションであったこともコインの価値をあげています。

フランスの実業家であったCharles Gillet氏は、古代ギリシャのコインをはじめさまざまな美術品を収集していました。

財力と審美眼により、非常に価値の高い古代コインを収集していたため、彼のコレクションであったという経歴はコインの価値をあげる要素のひとつになるのです。

 

監修者 葉山満

古代コインは、コインそのものの美しさや状態だけでなく、そのコインがたどった経緯や歴史も非常に重要です。どちらを取っても非常に価値のあるコインであることからこれほどまでの価格がついたのでしょうね。

 

まとめ

今回は、2023年5月に「Numismatica Ars Classica」にて538万スイスフランで落札された史上最高価格の古代コインについて解説しました。

日本円に換算するとおよそ8億3500万円という驚異的な価格で落札されたこのコインは、紀元前380年から304年に鋳造された古代ギリシャのコインです。

2000年以上前に鋳造されたコインとは思えないはっきりとした刻印やデザインの美しさから注目を集めました。

また、エルミタージュ美術館に収蔵されたものをスターリンが売却し、Charles Gillet氏によってコレクションされたという歴史もこの古代コインの価値をあげています

手のひらに乗るほどのコインに8億円以上の価値がつくのは、古代コインが美術品や歴史の証人としての価値があるためといえるでしょう。

 

史上最高価格の8億3500万円で落札された古代コインざっくりいうと
  • 2023年5月スイスの「Numismatica Ars Classica」で出品された古代コインが史上最高価格の8億3500万円で落札された
  • 史上最高価格で落札された古代コインは、紀元前380年から304年に鋳造された古代ギリシャのコイン
  • 史上最高価格で落札されたポイントは、デザインの珍しさと美しさ、あとはスターリンによって売却されたことや有名なコレクター品であったという歴史

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