日本では日銀により2024年3月にマイナス金利政策が解除され、17年ぶりの利上げが行われました。
アンティークコインを投資商品として購入したい人は、金利の上昇により、アンティークコイン市場にはどのような影響が出るのか気になりますよね。
今回は、昨年掲載されたアメリカの記事を元に、金利上昇がアンティークコイン市場にどのような影響をおよぼすのか、解説していきます。
アンティークコインに携わるさまざまな著名人の見解も翻訳していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
- 金利上昇はアンティークコイン市場に確実に影響を及ぼす
- 金利上昇はコイン価格下落につながる
- アンティークコイン著名人による見解には長期的な目線で見るとあまり影響は無い、というものが多い
- 金利上昇によりインフレが抑えられコイン価格の下落が考えられるが、長期的にインフレは進んでいくものなので、大きな影響は無い
金利の上昇はアンティークコイン市場に影響を及ぼす!
昨今の急速な金利上昇は、アンティークコイン市場にも確実に影響を及ぼしています。
※連邦準備制度理事会(FRB)は、ここ最近の急速な金利上昇により、融資を必要とする人たちへの負担が増え深刻な問題となっていると伝えています。
※アメリカの中央銀行制度、連邦準備制度の最高意思決定機関
- 地金はインフレにより価格上昇をみせるが、インフレを抑える効果のある金利上昇は地金の価格を下げる可能性がある
- 金利が上がると借金をしてコインを買おうとするコレクターが現象する
実際にどのように金利上昇が影響しているのか?
実際、どのように金利上昇がコイン市場に影響しているのでしょうか。
例えば、イーグル銀貨のような地金コインの需要が金利上昇に伴い急落しています。
1枚15ドルでやりとりされていたものが、数週間で数ドルにまで下落をみせていることは見逃せない変化と言えるでしょう。
モルガンダラーや、ピースダラーといった銀貨についても、イーグル銀貨ほどではないにしろ、下落を見せつつあります。
2023年3月にアメリカの中小銀行が相次いで破綻し、世界的な株価の下落が見られた際には、地金の価格は上昇を見せました。
そういった事象と昨今の金利上昇による地金コインの下落は、対照的であると言えます。
つまり金利上昇は、地金価格を抑制する大きな要因の一つとなり得るのです。
なぜ金利上昇がコイン価格の下落につながるのか?
なぜ金利上昇がコイン価格の下落につながるのでしょうか。
金利上昇は、インフレ抑制対策として行われることが多々あります。
地金などの投資商品は、一般的にインフレに強いとされる投資商品です。
そのため、インフレが進むにつれ投資目的での地金コインやアンティークコイン購入が促進されます。
しかし、昨今の様に金利上昇によるインフレ抑制が起こると、コイン需要そのものが減退してしまうのです。
また、アンティーク市場では、高額なコインを借金をしてでも購入したい!と考えるコレクターが多数存在します。
金利上昇により容易にお金を借りることができなくなれば、それだけ熱心なコレクターの数も減っていくことが考えられます。
アンティークコインの市場動向を知るためにはこちらの記事がおすすめです。
numindexとは?アンティークコインの市場動向がわかりやすくなるnumindexを解説!
アンティークコイン市場関係者による見解
昨今の金利上昇によるアンティーク市場への影響について、さまざまな関係者が見解を述べているので、ご紹介します。
ヘリテージオークションの共同会長スティーブ・アイビー氏
ヘリテージオークションの共同会長スティーブ・アイビー氏は、「今のところ市場に大きな変化は見られない」と述べています。
一部のコレクターが遺産目的でアンティークコインを売却した際に、5%ほどの利益を得たことがコイン市場をより魅力的なものに見せたそうです。
金利上昇は、希少な人気アンティークコインを購入したいと考える人への影響がほとんどない、という見解も示しています。
結局、金利がどうあれ良いものが出品されるとその都度過去最高落札額の記録を更新し続けているからです。
コインディーラーGovMintの終身会員であるビル・ゲイル氏
コインディーラーであるGovMintの終身会員、ビル・ゲイル氏は、「コレクターは金利上昇よりもインフレ上昇を心配している。どの国も長期的には自国通貨の切り下げに取り組んでいる。」と述べています。
ビル・ゲイル氏の言う通り、現在は金利上昇によりインフレが抑えられているが、長期的な目線で見ると世界的にインフレが進んでいくのは明らかです。
そしてアンティークコインをはじめとするコレクターズアイテムは、インフレ状況下で成長を見せてきているのは明らかです。
コインディーラーPark Avenue Numismaticsのロビー・グリーンバーグ氏
コインディーラーPark Avenue Numismaticsのロビー・グリーンバーグ氏は、「金利の上昇はしばしば経済の好調をもたらし、株式や債券など他の投資オプションとの競争を激化させる。その結果、投資家の中にはレアコインから資金を振り向けることを選択する人もいるかもしれません。しかし、利益率5%を超える現在の水準では、ほとんどリスクなく投資できる資金を手放したがらないコレクターもいることは間違いないでしょう。」と述べています。
Certified Collectibles GroupのCEOスティーブ・アイヘンバウム氏
NGCなどを傘下に持つ:Certified Collectibles GroupのCEO、スティーブ・アイヘンバウム氏は「コインビジネスは好調を維持しているが、大口の顧客にとっては金利上昇が懸念材料となる可能性がある。」と指摘しています。
このコメントはおそらく、金利上昇による在庫コスト上昇の問題を考慮してのものだと考えられます。
アメリカの大手マーケティング会社やコイン小売会社の多くが、巨大な在庫を抱えているのは事実です。
これらのビジネスを運営するには多くの資本が必要となり、その一部は銀行やその他の機関から提供されているため、金利上昇は間違いなく影響を及ぼしていると言えるでしょう。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙による見解
ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された『It’s Money over Memorabilia』というタイトルの記事では、野球カード、レコード、スニーカーなどの記念品コレクターがコレクションを売却していることについて触れています。
記事には、「インフレと予期せぬ挫折によって、彼らの予算は圧迫されている。そして、金利の上昇によって借金を背負う代償が重くのしかかると同時に、彼らの借金は膨れ上がっている。幸いなことに、希少コインを含むほとんどの収集品の売却を考えている収集家にとって、市場は依然として好調である。」と書かれています。
監修者 葉山満
どうも、金利上昇がアンティークコイン市場に大きく影響を与えていると考えている人はいなさそうですね?
一部のコレクターに影響があっても、世間的なコイン需要は衰えることがなさそうです。
金利上昇による影響があるのは確かだが、大きなダメージを与えるものではない
金利上昇がコイン市場に影響をおよぼす、という事実は、実際に地金コインが下落したことからも見てとれます。
しかし、金利上昇によりインフレの抑制が多少見られたとしても、先述の通り今後も世界的にインフレが進み続けていくことは間違いありません。
またアンティークコインは、地金としての価値だけでなく、歴史的・芸術的価値も付与されている投資商品です。
歴史的関心や懐古的思考の高まりにより、アンティークコインは今後も注目度が上がり続ける投資商品と言えるでしょう。
その証拠に、現在アンティークコインは過去最高落札額を更新し続けるなどして衰えを見せません。
実際、アンティークコイン市場は他の投資商品とは違い、さまざまな世界情勢により株価などが影響を受ける中でも安定して上昇し続けています。
昨今の金利上昇により多少下落を見せたとしても、長期的な目で見ればほとんど影響が見られないと言っても過言ではありません。
アンティークコイン投資についてはぜひこちらも参考にしてください。
アンティークコインとは?投資、転売に向いている理由を徹底解説
監修者 葉山満
まとめ
今回は、金利上昇によるアンティークコイン市場への影響について、2023年に発表されたアメリカの記事を元に解説してきました。
金利上昇によるインフレの抑制により、地金コインなどの価格下落は確かに見られることがあります。
地金は、インフレにより上昇するため、金利上昇でインフレが抑制されると下落を見せる傾向にあります。
しかし、アンティークコイン関係者の見解によると、その影響はあまり深刻なものではありません。
金利政策で多少のインフレが抑えられたとしても、長期的な目線で見れば世界的に今後もインフレは進んでいきます。
アンティークコインは、金利上昇には大きな影響を与えない投資商品と言えるのです。
- 金利上昇はアンティークコイン市場に確実に影響を及ぼす
- 金利上昇はコイン価格下落につながる
- アンティークコイン著名人による見解には長期的な目線で見るとあまり影響は無い、というものが多い
- 金利上昇によりインフレが抑えられコイン価格の下落が考えられるが、長期的にインフレは進んでいくものなので、大きな影響は無い
- 金利上昇はアンティークコイン市場を下落させる可能性があるものの、アンティークコインは今後も利益が望める投資商品である