アンティークコインは20万種類ほどありますが、その中で最も人気と言っても過言ではないのが「ウナとライオン」です。
近年、急速に値上がりしているコインでもあり、わずか6年で10倍も値上がりしてしまいました。
「ウナとライオン」はコインそのものの美しさに加え、発行枚数が極端に少ないという特徴があります。
幻のコインとも呼べる「ウナとライオン」の、歴史や価値について紹介していきましょう。
目次
アンティークコイン「ウナとライオン」の特徴と歴史
まずはアンティークコインの中でも最も有名かつ人気のある「ウナとライオン」の特徴や歴史について見ていきましょう。
その貴重さや芸術性について感じ取っていただければ嬉しい限りです。
「ウナとライオン」の基本情報
世界中の富裕層がこぞって欲しがるアンティークコイン「ウナとライオン」について、基本情報をまとめました。
発行国 | イギリス |
発行枚数 | 400枚 |
発行年 | 1839年 |
標準グレード | PF63 |
コインの額面 | 5 ポンド |
素材 | 金 |
大きさ | 直径37.8mm |
重さ | 39.9403g |
「ウナとライオン」は、1839年にイギリスで発行された記念金貨です。
ヴィクトリア女王が18歳で即位した1837年から2年後に、即位の記念として発行されました。
そのため、表面にはヴィクトリア女王の横顔が描かれています。
即位記念金貨セットの中でも、5ポンドの「ウナとライオン」は一番大きいサイズです。
そのデザインが美しいのと、世界に400枚しか存在しないという希少性が相まって、アンティークコインの中でも最も人気のコインとなっています。
「ウナとライオン」の名前の由来
「ウナとライオン」と聞いても、日本人には何のことなのかピンと来ないのではないでしょうか。
デザインの元ネタを知っているなら、あなたはかなりのアンティークコイン通ですね。
アンティークコイン「ウナとライオン」の表面に描かれるのはヴィクトリア女王の肖像ですが、裏面には「ウナ」という女性と「ライオン」が描かれています。これが由来となり、コインは「ウナとライオン」と呼ばれています。
ウナは16世紀のイギリスの詩人エドモンド・スペンサーの著作「妖精の女王」に登場するお姫様です。
コインのデザインにはイギリスの繁栄への願いが込められており、ウナはヴィクトリア女王、強さの象徴とされるライオンはイギリスを表しています。
「ウナとライオン」のデザイン
「ウナとライオン」はウィリアム・ワイオンという人物によってデザインされました。
彼は1828年~1851年の間、20年以上もイギリス王立造幣局の主任を務めた人物です。
当時、コインに架空の人物を描くことはとても珍しかったので、「ウナとライオン」は大胆なデザインで大絶賛されました。
また、ワイオンがデザインしたコインは他のものと一線を画した美しさがあり、「ウナとライオン」に限らず人気があります。
裏面の上部に書いてある銘文はラテン語で、「DIRIGE DEUS GRESSUS MEOS.」と書かれています。
直訳すると「主が私の進む道を示す。」という意味になります。
また、下部の「MDCCCXXXIX」は暗号のようですが、実は数字で発行年の「1839」を表しています。
「ウナとライオン」の価値
発行枚数が400枚と少なく、また芸術性が高くて人気のある「ウナとライオン」は、非常に高く取引されています。
この項目では、「ウナとライオン」の取引価格や価値が高い理由について解説していきましょう。
近年の取引価格
世界中の富裕層が欲しがるアンティークコイン「ウナとライオン」について、近年の取引価格の推移を見ていきましょう。
次の一覧は、PF63というグレードで状態が良かった場合の取引価格の参考です。
2011年 | 400〜500万円程度 |
2012年 | 700〜800万円程度 |
2013年 | 1000万円程度 |
2014年 | 2000万円程度 |
2015年 | 3000~4000万円程度 |
2016年 | 3000~4000万円程度 |
2017年 | 4000~5000万円程度 |
2018年 | 5000~6000万円程度 |
どんどん価格が上がっている様子が、一目瞭然ですよね。
2011年には400〜500万円程度だったのに、2017年には4000~5000万円程度まで高騰しています。
わずか6年で10倍もの価値に跳ね上がってしまいました。
この調子だと、1億円を突破するのも時間の問題と考えられます。
実際の取引価格はグレードによるので、状態が悪いコインだと「ウナとライオン」であっても何千万円とまでは行かないかもしれません。
平均的には2500万円程度で取引されているコインなので、この値段を基準として覚えておきましょう。
「ウナとライオン」の価値が高い理由
アンティークコインの価値は、大きく分けて3つの観点で評価できます。
それが「数」「状態」「人気」です。
「数」については、発行枚数が少ない方が貴重なので、当たり前ですが数が少ない方が価値が高くなります。
「ウナとライオン」の発行枚数は400枚と極端に少ないので、価値が高くなっているのです。
「状態」についても、当たり前ですが綺麗な方が価値は高くなります。
5000万円以上の値段がつく「ウナとライオン」については、かなり状態が良いアンティークコインです。
一方で、「人気」についてはどうでしょうか。
数や状態と違ってデータが無いので、判断が難しい観点です。
実は、「ウナとライオン」は数や状態だけでなく、「人気」の高さによって価値が上がっているコインでもあります。
上述したように見た目が美しく芸術性が高いので、コレクターにとって喉から手が出るほど欲しい逸品なのです。
「ウナとライオン」はコインの価値を決める数・状態・人気のすべての観点で評価が高くなるコイン。
そのため、数千万円という非常に高い価格で取引されているのです。
まとめ
アンティークコインの中でも富裕層やコレクターに特に人気がある「ウナとライオン」について解説してきました。状態の良いコイン、具体的にはPF62以上の「ウナとライオン」であれば、今後も値上がりしていくことが予想されます。
既に価格が高騰しているので、「ウナとライオン」は誰にでも買えるコインではなくなってしまいました。ですが、アンティークコインが数年で10倍も値上がりするという事実の方も大切です。
「ウナとライオン」のように、自分が持っているコインが数年で10倍も値上がりする可能性もあります。芸術性に惹かれてコインを集めている人にとっても、投資目的でコインを売買している人にとっても、夢のある話ではないでしょうか。