投資商品として注目度の高いアンティークコイン。
アンティークコインは価値がゼロになる可能性が非常に低く、金融危機にも強い優れた投資商品です。
しかし、アンティークコインは市場価格がなかなかわかりづらいことがウィークポイント。
そのため、相場価格の何十倍もの価格で購入してしまう、なんて事例もしばしば。
そこで登場したのがnumindexです。
numindexはヨーロッパで流通するアンティークコイン30種類の相場をチャート形式で提示しているサイト。
チャート形式でアンティークコインの相場がわかるため、なかなか見えづらいアンティークコインの市場動向が一目瞭然になることが期待できます。
今回は、アンティークコインのチャートが見れるサイトnumindexについて、概要を解説するとともにアンティークコインの投資商品としての魅力やデメリット、numindexの見方なども解説します。
最近目にするnumindexって何?と疑問に思っている方はぜひ参考にしてくださいね。
- アンティークコインの市場動向をチャート形式で見られるサイト
- アンティークコインは投資商品として非常に魅力的だが、情報収集が難しく、相場がわかりづらいという弱点がある
- numindexでアンティークコインの市場動向を可視化し、間口を広げることによってアンティークコインの弱点が無くなるかもしれない
目次
numindexとは何かを解説
2023年突如登場したサイト、numindex。
numindexとは誰がどういったことを目的として作ったサイトなのでしょうか。
numindexについて概要を解説するとともに、どういったアンティークコインのチャートが見られるのかを解説します。
- numindexはアンティークコインの市場価格をチャート形式で見られるサイト
- 比較的流動性の高いヨーロッパのコイン30枚の合計価格のチャートが見られる
- 市場動向がわかりにくいアンティークコイン市場において非常に便利なサイト
numindexの概要
numindexは、アンティークコインの市場価格をチャート形式で見られるようにしたサイトです。
サイト名 | numindex |
URL | https://numindex.com/ |
開始年月 | 2023年4月 |
創始者 | Michael Zagorowski
(ミヒャエル・ツァゴロフスキー) |
numindexは、2023年4月に公開されました。
「numindex」はドイツ語の「Numismatische Index」、“貨幣額のインデックス”という意味の言葉を略した造語 として作られた言葉です。
創始者は、スイスの貨幣学者であるミヒャエル・ツァゴロフスキー氏。
ツァゴロフスキー氏は、チューリッヒの資産管理会社に17年勤務したのち、元々趣味であったアンティークコインにたずさわるため、SINCONAグループで貨幣学者としてのキャリアをスタートしました。
SINCONAグループは、アンティークコインオークションを運営するチューリッヒの会社です。
つまりnumindexは資産管理・アンティークコインと非常に深い関わりのある人物によって作られたサイトと言えます。
30種類のコインのチャートが見られる
numindexでは、独自の選定基準で選ばれた30種のコインの合計の値動きがチャート形式で見られるようになっています。
値動きがみられる期間は、5年間。
2023年9月現在、2018年から現在までの値動きがチャートから確認できます。
選ばれた30種のコインはnumindex上に明記されています。
下記の画像の30枚です。
numindexの対象となっている30種のアンティークコインは、年に数回オークションなどで売買されているものから選ばれています。
そのため、滅多に市場に出ないような高額コインは含まれていません。
あくまでも流動性のある、比較的入手しやすいアンティークコインを対象としており、アンティークコインの世間的な市場価値の動向をわかりやすくしています。
また、選定されたアンティークコインは、ヨーロッパで製造されたものに限られてます。
現在は存在しない国が発行したものも含まれていますが、ヨーロッパ大陸と関係の深いアンティークコインが選ばれていることも特徴です。
他には、19世紀から20世紀に機械鋳造されたコインであることも、選出されたアンティークコインの特徴としてあげられます。
(これらの基準は、今後numindexが更新される際に変わる可能性があります。)
numindexはアンティークコインの動向がわかりやすくなる便利なサイト
スイスの貨幣学者であるミヒャエル・ツァゴロフスキー氏が独自の基準で選出した30種のアンティークコイン。
そのアンティークコイン30種の合計価格をチャート形式で見られるように作成したのが、numindexです。
つまりnumindexはアンティークコインの市場動向が一目瞭然になる非常に便利なサイトなのです。
これまで、アンティークコインは専門知識を有するややハードルの高い投資商品でした。
しかしnumindexの登場により、株式や外貨に投資をするのと同じように気軽にアンティークコイン投資ができる時代が来るかもしれません。
実際、創始者のツァゴロフスキー氏は、アンティークコインを身近な投資商品にすることを目的としてnumindexを作った、と話しています。
監修者 葉山満
そもそもアンティークコイン市場とはどのようなものなのか
numindexの登場により、これまでよりも身近になるかもしれないアンティークコイン市場。
しかし、そもそもアンティークコインとはどのような魅力のある投資商品で、アンティークコイン市場に参入することによりどのようなメリットがあるのでしょうか。
こちらでは、アンティークコイン市場がどのようなものなのかを解説します。
- 貴金属としての価値以外に付加価値が存在する
- 投資家とコレクターの双方が参入している
- 匿名性の高い投資商品
- 金融危機に比較的強い傾向にある
貴金属としての価値以外にも付加価値が存在する
貴金属としての価値だけでなく、歴史的価値や希少価値などの付加価値が存在するのがアンティークコインの特徴です。
アンティークコインは、金や銀などの貴金属でできているものが多くあります。
そのため、アンティークコインはベースとして、まず貴金属としての価値がある投資商品ということが前提です。
2023年9月現在、金の価格は1g1万円を超えるほど高騰し続けているため、金が含有されているアンティークコインの価値も同時に上がっていっています。
しかし、アンティークコインの価値は貴金属としての価値だけではありません。
アンティークコインとは、100年前に製造されたコインを指します。
そのため非常に歴史的価値があり、今後同じものが増えることは決してありません。
そのため、希少価値も上がる一方の投資商品と言えるでしょう。
また、製造された偉人の肖像画が描かれているなど、手のひらに乗るサイズの1枚に歴史的背景が垣間見えることがアンティークコインの魅力のひとつ。
発掘されたアンティークコインによって大きな発見がなされるなど、考古学上非常に価値のあるものも存在します。
このように、アンティークコインは貴金属としての価値だけでなく、歴史的価値や希少価値といった付加価値が存在する、珍しい投資商品なのです。
投資家とコレクターの双方が参入する市場
アンティークコイン市場は、投資家だけのものではなく、コレクターも参入している市場です。
むしろ、アンティークコイン市場を支えているのは投資家ではなくコレクターと言っても過言ではありません。
アンティークコイン市場を支えるコレクターには、世界の貴族や富裕層なども多く含まれています。
こういった富裕層は、資産形成のためにアンティークコインを購入するというよりも、コレクションとして購入するため、なかなか手放すことがありません。
その結果、希少なコインは世に出回りにくくなり、希少価値が上がっていく一方となります。
富裕層のコレクターは投資家のように将来性などを考えて慎重に商品を購入するのではなく、気に入ったアンティークコインがあれば購入し、どんどん保管していきます。
そのため、アンティークコイン市場はコレクターが土台をしっかりと支える市場と言えるでしょう。
匿名性が高い
匿名性が高いことも、アンティークコイン市場の大きな特徴といえます。
株式の購入時のように口座を開設する必要や、金の売買のように身分証明書を提示する必要もありません。
アンティークコインは店舗でショッピングをするように購入できる珍しい投資商品です。
そのため、どのコインを誰が持っている、といった個人情報が一切流出しないこともアンティークコインの魅力と言えます。
金融危機に強い
アンティークコインは金融危機に強い投資商品と言われています。
2020年、新型コロナウイルスの流行により戦後最悪の経済危機が訪れました。
ここで、numindexによるアンティークコインの5年間の価格推移と、日経平均株価の推移を見てみましょう。
引用元:numindex
引用元:google
アンティークコインも日経平均株価も同様に2020年5月頃に一旦下落を見せています。
しかし、日経平均株価の下落が急激なことに比べて、アンティークコイン価格の下落は非常にゆるやかなことがわかるのではないでしょうか。
また、1929年の世界恐慌以来の世界的な大不況と言われる2008年のリーマンショックでも、アンティークコインの資産価値としての盤石さが証明されています。
引用元:Stanley Gibbons
画像は、イギリスの切手などの製品を収集し販売している会社、Stanley Gibbonsが発表したアンティークコインの成長率を示すチャートです。
青い線は、「GB200 Rare Coin Index」という主にイギリスで取引されている200種類のアンティークコインの落札価格の推移を表しています。
イギリスにおける金や株価などの推移と比較しても、アンティークコインの価格は2008年のリーマンショックに全く影響されていないことがわかります。
このように、アンティークコインは金融危機に強い投資商品なのです。
アンティークコイン市場規模は1兆円!?今後は?投資向きなのか解説
今流行しているアンティークコイン投資の基本情報、リスクをご紹介!
魅力的なアンティークコインには弱点も
投資家だけでなく富裕層のコレクターが参入しており、経済危機にも大きく影響されない魅力的なアンティークコイン市場。
しかし、アンティークコインには弱点も存在します。
アンティークコインにはどのような弱点があるのかを解説します。
- 情報収集がやや難しい
- 相場がわかりづらい
情報収集がやや難しい
魅力的な投資商品であるアンティークコインの弱点は、情報収集がやや難しいことにあります。
アンティークコインコレクターには、アメリカやヨーロッパの富裕層が多く存在します。
欧米にはアンティークコインショップが多数あり、コレクターもたくさんいる状態ですが、日本ではまだまだ一大ジャンルとは言えないことが現状。
そのため、アンティークコインに関する詳しい情報の多くは外国語で記載されています。
英語だけでなく、フランス語やイタリア語など、さまざまな言語で情報収集しなければいけません。
このように、日本語での情報がまだ少ない段階であるため、情報収集の難しい投資商品と言えるでしょう。
相場がわかりづらい
アンティークコインは投資商品として魅力的でありながら、市場相場がなかなかわかりづらいことも弱点のひとつです。
先述のように情報収集がしにくいことや、美術品として売買されることも多いのが原因と言えます。
相場がわかりづらい商品のため、悪徳なディーラーが本来の相場の何十倍もの金額で投資家に販売する、というケースも。
しっかり調べて市場の動向を把握しておかないと、だまされて大損する可能性もあるのです。
監修者 葉山満
日本人がアンティークコイン市場に参入しづらいのには、情報収集の難しさがあります。販売店やオークションをこまめにチェックし勉強していくことが大切です。
numindexによってアンティークコイン市場の弱点が無くなる!?
魅力的な面が多々ありながら、投資商品としての弱点もあるアンティークコイン。
しかし、numindexの登場によりアンティークコインの弱点が無くなるかもしれません。
チャート化することで市場動向を可視化する
numindexは、流通しやすいコイン30種の価格をわかりやすくチャート化することで、アンティークコインの市場動向が一目でわかるようになっています。
アンティークコイン市場が上昇傾向にあるのかどうかがはっきりわかり、有名コインのおおよその相場もわかるため、大幅に高額な金額で販売する詐欺に騙されにくくなります。
間口を広げてアンティークコイン市場の活性化につながる
気軽にnumindexのチャートでアンティークコイン市場がわかることは、アンティークコイン市場の活性化にもつながります。
市場相場がわかりづらいことがネックでアンティークコイン市場に参入していなかった投資家も、見やすいチャートがあることで参入しやすくなるのではないでしょうか。
numindexは、現在独自の基準で選出した30枚のコインでチャートを作っていますが、他の種類のコインでチャートを作ることも視野に入れています。
アンティークコイン市場全体が活性化し、今後日本のコレクターも増えれば、情報収集がしやすくなることも期待できるでしょう。
numindexの見方
numindexの見方を解説します。
numindexは非常にシンプルなサイトです。
ページ上部には、「アンティークコインは古い世代の趣味なのか、それともアンティークコイン収集により継続的に収益を上げることができるのか?」という意味の文章が書かれています。
アンティークコインを限定的なコレクターズアイテムにとどめず、魅力的な投資商品として世間に広めたい、というnumindexの目標が伺えます。
こちらが、numindexのメインとなるチャートで、縦軸の価格はスイスフランでの価値などを元に算出されたポイントで表されています。
このチャートにより、2018年1月からのアンティークコインの価格変動が一目でわかるようになっています。
こちらは、numindexが選出した30種のコインそれぞれの現在価格です。
「calculator」を選択し、持っているコインの枚数を入力することで自分のコレクションの現在の価値がわかります。
その下にある「did you know…」のコーナーでは、コインに関する豆知識が掲載されており、さらに下の「white papers」ではホワイトペーパーへのリンクが掲載されています。
ホワイトペーパーは英語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語が用意されており、クリックすることでPDFがダウンロードできるのでぜひクリックしてみてください。
さらにページを下にすすめると、「power partners」としてnumindexのパートナー会社が記載されています。
numindex創始者のツァゴロフスキー氏が所属していたコインオークション会社SINCONAや、スイスのアンティークコインに関する情報誌NUMISPOSTなど、スイスのアンティークコインに関する大手企業が協力していることがわかります。
その下の「they talk about us」は、各メディアでnumindexが掲載されたことに関する情報です。
最下部に掲載されている「about us」は、ツァゴロフスキー氏をはじめ3名のnumindex創設に携わった人物によるコメントです。
numindexがどのような思想の元、誕生したかがわかります。
まとめ
今回は、スイスで立ち上げられたアンティークコインのチャートが見られるサイト、numindexについて紹介しました。
2023年の春に突如現れたnumindexは、スイスの貨幣学者ミヒャエル・ツァゴロフスキー氏により作られました。
独自の基準に沿った流動性のあるヨーロッパのアンティークコイン30種の価値を数値化し、およそ5年間の市場価値の変動がチャート形式で見られるようにしています。
アンティークコインは非常に魅力的な投資商品でありながら、情報収集がやや難しく、相場がわかりづらいことが弱点としてあげられます。
numindexでアンティークコインの市場動向がわかりやすくなることにより、そういった弱点の解消が期待できるかもしれません。
今後も、numindexの登場を皮切りにさまざまなアンティークコインチャートが運営されるようになると良いですよね。
監修者 葉山満
- numindexはアンティークコインの市場動向をチャート形式で見られるサイト
- アンティークコインは投資商品として非常に魅力的だが、情報収集が難しく、相場がわかりづらいという弱点がある
- しかしnumindexでアンティークコインの市場動向を可視化し、間口を広げることによってアンティークコインの弱点が無くなるかもしれない
- numindexの見方を知って、これからますます活性化するアンティークコイン市場に参入しよう