歴史的価値やデザイン、数量によって価格が変化するアンティークコイン。
その相場は皆さん、ご存知ですか?
この記事ではアンティークコインの価値を紹介しつつ、有名なアンティークコインの相場について解説します。
この記事を通じてアンティークコインの価格を把握できるようになります。
- 状態や歴史的背景、発行枚数によって相場は決まる
- 今後、アンティークコインは伸びる傾向にある
- 有名なものだと1億円を超えるアンティークコインもある
アンティークコインの相場が決まる3ポイント
アンティークコインの価値が決まるポイントには大きく分けて3種類あります。
それは状態、歴史的背景、発行枚数の3ポイントです。
順番に解説します。
状態
アンティークコインはアメリカのPCGS社、NGS社の2社が状態を鑑定することが多いです。
それら2社が定めた70段階の「シャルドン・スケール」によって状態の良し悪しが決まります。
状態が良ければ良いほど評価が高くなり、悪ければ悪いほど評価は低くなります。
こちらはPCGS社が公開しているグレーティングの基準です。
グレード | 説明 |
---|---|
AG-3 | 縁にすり切れあり、文字はすり切れがあるが読みとれる |
G-4 | 縁がややすり切れていて、細部が平ら、周辺の文字はほぼ完全 |
VG-10 | デザインがすり切れている |
F-12 | 細部の一部に深いくぼみがあるが、文字はすべて鮮明である |
VF-20 | 細部の鮮明度に少々難あり、文字は完全でキレがある |
VF-25 | 細部と文字にわずかな難あり |
AU-53 | 細部は完全であり、コインの半分以上は僅かな流通跡が付き、 ハイポイント(凸部)に磨耗が見られる |
AU-55 | 細部は完全であり、表面の1/2未満に磨耗が見られる |
MS/PR-60 | 磨耗無し。かなりのへこみ/ヘアラインが見受けられる場合がある、 |
MS/PR-66 | へこみ/ヘアライン殆ど無し、フォーカル(焦点)エリアには無し、 図案の鮮明さは良い |
MS/PR-69 | 図案の鮮明さはほぼ完璧 |
MS/PR-70 | 図案の鮮明さを含め、すべてにおいて完璧 |
出展:PCGS社
非常に細かく設定されていることがわかります。
実際にアンティークコインと照らし合わせてみましょう。
1795年 Flowing Hair
出展:Heritage Auctions
こちらのコインはVF20と鑑定されたアンティークコインで、「細部の鮮明度に少々難あり、文字は完全でキレがある」と評価されています。
確かに中央のデザインの一部がつぶれていますが、LIBERTYの文字がくっきり見えます。
1823年 Bust Half Dollars
出展:Heritage Auctions
こちらはAU-53と鑑定されたアンティークコインです。
細かい部分や中央のデザインは綺麗に保存されているが、コイン全体が変色(サビなど)していたり、摩耗している場合はこのような評価になります。
髪の毛や装飾の部分がきれいに残っているかが、先ほどの1795年Flowing Hairとの決定的な違いです。
イラン Bank Melli 50th Anniversary
出展:Heritage Auctions
こちらはMS/PR-69と評価されたイランのアンティークコインです。
文字の部分やデザインの部分など、摩耗や傷がないことがわかります。
特に髪や髭、勲章といった細部に注目しても、傷一つないことがわかります。
こういうアンティークコインのグレードは高くなり、それに応じて相場も高くなります。
歴史的背景
アンティークコインは歴史的背景によって値段が決まる部分があります。
こちらのコインをご覧ください。
出展:コインパレス
こちらのコインは第一次世界大戦休戦協定100周年記念として発行されたコインです。
2020年9月現在、コインパレスにて220万円で取引されています。
このコインのように、〇〇周年記念や、歴史的に二度と来ないと推測されるコインは、希少性が高く、相場も高くなりがちです。
発行枚数
発行枚数も相場を決める重要な要素の一つです。
世界に10枚もない、幻のアンティークコインとなると、相場も急上昇します。
また試鋳貨に注目することもありです。
試鋳貨は全体的に発行枚数が少ないため、必然的に世に出回る枚数も少なくなります。
出展:コインパレス
例えば、ジョージ5世のクラウン試鋳銀貨がわかりやすい例と言えるでしょう。
状態にもよりますが、普通のジョージ5世のクラウン銀貨が300万円前後で取引されているのに対し、クラウン試鋳銀貨は1600万円前後で取引されています。
これは、普通のクラウン銀貨に対して、試鋳銀貨のほうが発行枚数が少ないため、値段が倍以上変わってくるのです。
通常は市場で使用されることはありません。
アンティークコイン相場の今後の動向
アンティークコインの魅力の一つに、「減ることはあっても増えることはない」というものがあります。
これはアンティークコインの発行が終了していて、かつ増やすことができないためです。
そのため、現時点で世界にある枚数が全てであり、限られた枚数の中で売買していることが現状です。
こちらのグラフをご覧ください。
出展:コインパレス
こちらはウナ&ライオンコインの市場価格の推移です。
市場参加者の増加によって、急激に値段が上がることはあっても、下がることは滅多にありません。
下がる要因としては、世界中の所有者が一斉に売却することですが、過去にそのような報告はありません。
そのため、今後も多くのアンティークコイン購入者が現れれば現れるほど、相場はどんどん高くなると予想されます。
有名なアンティークコインの相場
有名なアンティークコインの相場を調べました。
注意してほしいことは状態や時期によって相場は変わります。
そのため、2020年9月時点での相場ということをご了承ください。
1839年 ウナ&ライオン5ポンド金貨
出展:コインパレス
1839年発行のウナ&ライオンコインは多くのコレクターから注目されている人気のアンティークコインです。
このコインは様々なデザインがあり、相場を決定することが困難です。
状態や種類によりますが、安くて2000万円、高くて1億円以上で取り引きされています。
特にコインパレスで販売されているウナ&ライオンコインはWR-277と呼ばれる種類で、世界に3~5枚しかないと言われています。
かつ、美品なので値段も1億2500万円という値段がついています。
この美しさは世界でも人気で、ウナ&ライオン金貨を世界で一番美しいコインと称する人も少なくありません。
1662 チャールズ2世 クラウン試鋳金貨
出展:コインパレス
このコインは世界で初めてのクラウン試鋳金貨とされており、1枚2億円で取引しているアンティークコイン専門店もあります。
表面は月桂樹を頭上に頂くチャールズ二世の横顔と、ラテン語で「神の恩寵によるチャールズ二世」という文章が刻まれています。
裏面はキリスト教を表す十字、王冠があしらわれた4か国の紋章が刻まれています。
重量も58.77グラムと当時としては最重量級で、現代のコインでは見られない、アンティークコインならではの圧倒的な重厚感を感じることができます。
古代リディア 紀元前610-546 獅子と太陽 1/3スターテル エレクトラム金貨
出展:コインパレス
紀元前に発行されたアンティークコインです。
現代のような技術ではなく、1枚1枚叩いて硬貨を作っていた時代のものです。
そのため、綺麗な円形ではなく、楕円であったり、ひび割れているものもあります。
しかし、他のアンティークコインにも負けない雰囲気や歴史を感じることができることが古代のアンティークコインの特徴です。
現在、このコインは100万円前後で取引されています。
ジェームズ・ボンド「007」1000ポンド金貨(1kg)プルーフコイン
出展:コインパレス
アンティークコインのデザインは偉人の肖像や勲章ばかりではありません。
スパイ映画の金字塔「007シリーズ」のデザインがされているアンティークコインも存在します。
世界でも20枚しか発行されていないこのコインの相場は2500万円と極めて高額です。
しかし、従来の鋳造方法だけでなく、最新の技術を使用することで、マット仕上げが施されることで、独特な雰囲気を醸し出しています。
プルーフコインの特徴の一つに、全体的に状態が良いというものがあります。
これは、貨幣として使用する機会が少なく、必然的に摩耗や擦れなどがないためです。
1725-1837 日本 享保大判金
出展:コインパレス
アンティークコインは外国のものというイメージが強いですが、日本の小判や古銭も近年注目されています。
今回はその中でも特に有名な享保大判金を紹介します。
享保大判金は1725年に鋳造、1730年に発行されたもので、8515枚しか発行されていない貴重なものです。
特に初期に発行された第12代後藤寿乗墨書のものは900万円前後で取引されいます。
そこから13代の延乗、14代の桂乗、15代の真乗、16代の方乗、17代の典乗の墨書がありますが、17代になるにつれて価値は下がっていきます。
特に17代の典乗の墨書は12第のものと比べると半額前後で取引されています。
アンティークコインに関するよくある質問
アンティークコインに関してある程度イメージができたと思います。
ここではアンティークコインに関するよくある質問を書きました。
- 偽物の可能性はあまりないが、警戒は必要
- アンティークコインを入れるケースは交換できない
- コインパレスとユニバーサルコインがオススメ
- 専門店やオークションでアンティークコインを購入できる
- 様々な種類のアンティークコインがある
Q.偽物の可能性はありますか。
A.多くの場合、第三者鑑定機関によって、しっかり鑑定されたものを販売しています。
よく利用される第三者鑑定機関として、アメリカのPCGS社(Professional Coin Grading Service)とNGC社(Numismatic Guaranty Corporation)が挙げられます。
また、コインパレスやユニバーサルコインなど、日本のアンティークコイン専門店では上記2社から認められたディーラーであることが多く、安心して利用することができます。
しかし、年々偽物のクオリティは高くなっているので、警戒は必要です。
信頼できるアンティークコイン専門店を利用しましょう。
コインパレスの評判・口コミを徹底解説!アンティークコインの取り扱いは?
こちらでコインパレスやユニバーサルコインの紹介をしています。
参考にしてみてください。
Q.アンティークコインを入れるケースを交換することは可能ですか。
A.簡単に交換することはできません。
一度ケースから取り出したアンティークコインのグレードは無効になるため、再度鑑定する必要があります。
そのため、安易に取り出したり、壊したりすることはオススメしません。
Q.オススメのアンティークコイン専門店はなんですか。
オススメのアンティークコイン専門店はコインパレスとユニバーサルコインです。
この2社はPCGS社とNGC社から認められた認定ディーラーとして評価されています。
コインパレス
コインパレスの評判・口コミを徹底解説!アンティークコインの取り扱いは?
コインパレスは兵庫県を本拠地とするアンティークコイン専門店です。
多くの種類のアンティークコインを取り扱っており、非常に信頼できる専門店です。
代表取締役の安井将弘氏は様々な書籍を世に出しています。
ユニバーサルコイン
東京都銀座に本拠地を置くアンティークコイン専門店です。
一番の特徴はビットコイン決済ができることです。
既に仮想通貨に挑戦していて、アンティークコインに切り替えたい人に特におすすめなアンティークコイン専門店です。
アンティークコインはどこで買えばよいですか。
アンティークコインは基本的にアンティークコイン専門店やオークションで購入することができます。
一部のアンティークコイン専門店では、オンラインに対応しています。
しかし、高額になる場合は自分で足を運び、実際に見ることをおすすめします。
アンティークコインにはどのようなものがありますか。
アンティークコインは実際に使われたものから、記念として発行されたプルーフコインというものもあります。
他には市場に出る前にお試しで発行された試鋳貨幣、1980年以降に発行されたモダンコイン、紀元前に発行された古代コインというものもあります。
アンティークコインといっても様々な種類があります。
アンティークコイン相場まとめ
いかがでしたか。
アンティークコインの相場は状態や歴史的背景など、様々な要素が絡み合って決まることがわかりました。
これらを理解するれば、今後どのようなアンティークコインの相場が上がるかがある程度予想できると思います。
それではまとめます。
- 状態や歴史的背景、発行枚数によって相場は決まる
- 今後、アンティークコインは伸びる傾向にある
- 有名なものだと1億円を超えるアンティークコインもある