結論から申し上げると、アンティークコインは投資としての価値が十分にあるといえます。
この記事ではなぜアンティークコインが投資としての価値が高いのか、価値が高いアンティークコインの特徴を解説します。
是非皆さんもこの記事を参考にして、アンティークコインの価値を理解してみましょう。
- アンティークコインには価値保存機能がある
- アンティークコインには投資の価値がある
- 価値があるアンティークコインをご紹介
目次
貨幣には3種類の価値がある!
突然ですが、この記事を読んでいる皆さんはどうして貨幣を使うのでしょうか?
考えたこともないかもしれませんが、それはざっくり言うと、貨幣に価値があるからです。
しかし貨幣の価値はそれだけではなく、代表例として以下の3つがあるので、それぞれ解説します。
貨幣の価値を理解することで、アンティークコインへの理解も深まるので、しっかり理解しましょう。
- 価値尺度機能
- 価値保存機能
- 価値交換機能
①価値尺度機能
価値尺度機能とは、モノに値段をつけてその価値を示す機能を指します。
私たち消費者は同じ商品の価値を比較しながら、どの商品を購入するのか検討しますよね。
たとえば携帯の契約を結ぶ際、複数の会社のプランを確認してサービス内容がマッチしつつ、もっとも安い会社を選びます。
この時に価値尺度である貨幣がないと、相場もわかりませんし、比較もできません。
このように貨幣の価値尺度機能があることによって、私たちは様々な商品の価格が高いか安いかを判断できるのです。
②価値保存機能
価値保存機能とは、その人が社会に提供した価値を貨幣として半永久的に保存できる機能を指します。
貨幣を半永久的に同じ価値で保存できれば、任意のタイミングで商品と交換可能です。
また、貨幣の価値は基本的に不変なので、お金を貯蓄に回すことも所有者の判断でできます。
このように貯蓄に回った貨幣は貯蔵貨幣とも呼ばれ、貨幣の重要な役割の一つです。
③価値交換機能
貨幣のもっとも重要な役割に、商品と交換のために使える価値交換機能があります。
たとえば物々交換の場合、お互いがお互いの出す商品を欲しいと思っていなければ取引が成立しません。
しかし、どんな商品とも交換できる貨幣があれば、取引は確実に成立します。
これによって、経済活動を活発化させられるのが価値交換機能の意義です。
アンティークコインは価値保存機能としての役割がある
アンティークコインは正式な意味での貨幣ではありません。
しかし貨幣としての機能として、価値保存機能は残っています。
たとえば、何百年も前に滅んだ国家が鋳造したアンティークコインなんかは歴史的に価値がつきます。
また、貨幣の素材が希少価値の高い金や銀であれば、そこにも価値が生じますよね。
ここからはその部分について詳しく解説します。
- 金属としての価値
- 骨董品としての価値
アンティークコインの価値①金属としての価値
古い時代の貨幣の多くは、現在とは違って金属で作られていることがほとんどでした。
そのため、貨幣の素材には金、銀、銅が使われています。
これらの金属は現代でも取引が活発に行われている金属です。
特に金は1gでも数千円の価値があります。
そうなれば、金で作られたアンティークコインは重さの分だけ価値を持ちます。
このようにアンティークコインに価値保存機能がある理由の1つは、この「貨幣に使われている金属そのものに価値がある」という点なのです。
アンティークコインの価値②骨董品としての価値
骨董品は素材そのものに価値がなくとも、昔のものであることを理由に、マニアを中心に価値を持っています。
たとえば日本では昔500円札などが使われていましたが、現在でも商品の購入に使用可能です。
しかし、オークションサイトなどを確認すると、この500円札が500円以上の価値で落札されているケースが見られます。
これは500円札が現在発行されておらず、骨董品として希少価値が高いからです。
これは他のアンティークコインなどにも言えます。
このようにアンティークコインには骨董品として歴史的価値や希少価値があり、より高い価値がつくことがあるのです。
アンティークコインが投資としての価値が高い理由
アンティークコインは一般的に、投資として非常に向いている商品と言われています。
なぜアンティークコインは投資としての価値が高いのでしょうか。
結論からいうと、他の投資方法とは違い、人に依存しない、減ることがあっても増えることがない、今後も伸びる市場という3点の理由があります。
それぞれ順番に解説します。
- 依存度が少なく、実物を手元で保管できる
- 減ることはあっても増えることはない
- 今後も伸びる可能性が大きい
持ち運びが楽で、実物を手元で保管できる
アンティークコインは持ち運びが容易で、コイン実物を手元に保管できるという利点があります。
例えば仮想通貨や不動産投資を考えてみましょう。
両者ともに投資先としてかなり有名です。
しかし、仮想通貨は実物を手元で保管できないこと、不動産投資は持ち運びができないことが欠点です。
仮想通貨
仮想通貨は近年、注目を浴びている投資先です。
しかし、近頃仮想通貨の安全性に疑問の目が向けられています。仮想通貨の取引所がハッキングされて、莫大なお金が流出してしまったことはその一つの要因と言えるでしょう。
取引所 | 組織 | 時期 | 被害額 |
---|---|---|---|
コインチェック | 日本 | 2018年 | 約580億円 |
マウントゴックス | 日本 | 2014年 | 約470億円 |
ナイスハッシュ | スロベニア | 2017年 | 約70億円 |
ビットフィネックス | 香港 | 2016年 | 約65億円 |
ザ・ダオ | ドイツ | 2016年 | 約65億円 |
パリティーウォレット | イギリス | 2017年 | 約30億円 |
ビットスタンプ | スロベニア | 2015年 | 約5億円 |
出典:日本経済新聞
この表は仮想通貨の不正な資金流出の主な事例として日本経済新聞が発表していたものをまとめたものです。
日本に限らず、多くの仮想通貨取引所がハッキングや不正アクセスによって被害を受けていることは今に始まったことではありません。
しかし、これだけ大きな問題になっているのにもかかわらず、多くの仮想通貨取引所は外部からのハッキングや不正アクセス、詐欺への対策は十分にできているとは言えないのが現状です。
特に日本は先進国でありながら法整備、不正アクセスの対策が不十分です。
出典:CipherTrace
ブロックチェーン分析企業CipherTraceが、盗難やハッキング、詐欺の被害に遭った仮想通貨に関するデータをグラフにしてまとめたものです。
今年1月から5月だけで総額13.6億ドル(約1500億円)の被害をだしています。
ハッキングや不正アクセス、詐欺への対策が十分になる時期はまだ先でしょう。
それにこれらの対策が十分に取れても、さらに進化した不正アクセスや詐欺まで対策できる保証はありません。
せっかく投資しても、取引所を攻撃されて、お金が返ってこなくなることを考えると、やはり実物を手元で保管できたほうが安心です。
不動産投資
不動産投資も代表的な投資方法の一つです。安定した収入を確保でき、節税も期待できるという利点があります。
しかし、不動産投資は安定した収入を得るまでが大変です。
また、日本は地震などの災害が多いため、せっかく物件を確保したのに、倒壊によって努力が水の泡になる可能性があります。
入居者が決まらず収益がゼロの状態でも、維持費や広告費、ローンの返済に追われ、結局赤字経営が続くことも多々あります。
そのため、人に依存することなく、かつ管理も自分でできたほうが安心です。
減ることはあっても増えることはない
アンティークコインの性質上、増えることはあっても減ることがありません。
それはアンティークコインは再販されることがないという特徴があるからです。
1800年代に発行されたアンティークコインを2020年に作ることはできません。
またアンティークコインは歴史的価値や古さによって価値が上昇するため、再販したとしても市場に影響を与えません。
今後も伸びる可能性が大きい
アンティークコインは年数が経つにつれて、価値が高くなります。
1957年~1959年 | 1959年~1967年 | 1967年 |
---|---|---|
出展:Wikipedia
過去に発行された100円玉ですが、鳳凰と稲の100円玉は1000円前後で取引されていることをご存じですか?
100円として使用することはできますが、アンティークコインとしてみると価値や相場は全く違うという例です。
この話は日本の硬貨に限った話ではありません。
出展:コインパレス
ウナ&ライオン5ポンド金貨でも同じことが起きています。
ウナ&ライオン5ポンド金貨の価値は1年で、500万円から1000万円に増加しました。
多くの投資家がアンティークコインに注目したため、最も知名度が高いウナ&ライオン5ポンド金貨が購入されました。
税金や経済状況に強いアンティークコイン投資。おすすめ金貨や節税ポイントを徹底解説
多くの富裕層がなぜアンティークコインに目を付け、購入していったかがこの記事でわかります。
アンティークコインの価値を決める3つのポイント
以上でなぜアンティークコインが投資に向いているかについて見ていきましたが、ここからはアンティークコインの価値が決まるポイントについて解説していきたいと思います。
結論から言うと価値があるアンティークコインの特徴は市場の流通量が少ない、歴史的価値が高い、状態が良いの3つです。
その理由を紹介します。
- 市場の流通量が少ない
- 歴史的価値が高い
- 状態が良い
市場の流通量が少ない
市場で流通されているか否かはアンティークコインに限らず、全ての物の価値や相場に直結します。
それは日本の勲章の一つ、大勲位菊花章頸飾が分かりやすい例と言えるでしょう。
出展:国立公文書館
基本的にこの勲章は天皇陛下や皇族、総理大臣に送られます。
この勲章は1枚だけ民間流出しており、1枚6500万円で取引されています。
他にも様々な理由で少数しか流通していないアンティークコインも存在します。
出展:コインパレス
クラウン試鋳銀貨は試鋳貨幣という珍しい部類の銀貨です。
試鋳貨とは、新貨幣を発行する前に試作される貨幣のことを言い、普通は市場で使用されません。
もちろん発行枚数も少ないため、この銀貨は1500万円という高値で取引されています。
歴史的価値が高い
アンティークコインの価値を決める要素の一つに歴史的の価値の高さが挙げられます。
歴史的価値が高いアンティークコインや紀元前に作られたアンティークコインも注目していきましょう。
紀元前のアンティークコインといったらデカドグラマコインでしょう。
出展:コインパレス
鋳造技術がなく、叩いて発行してた時代に作られたため、全体的に歪です。
このようなアンティークコインは古代コインと呼ばれ、今日でも根強いファンによって注目されています。
状態が良い
コインの状態はアンティークコインの価値を決める重要な要素です。
その理由は完璧な状態を誇るアンティークコインは数が少ないためです。
普通のアンティークコインは摩耗したり、さび付てしまう場合がほとんどです。
これはアンティークコインのほとんどは実際に使われていたためです。
しかし、中にはアンティークコインの価値に気づき、大切に扱う人もいます。
こうしたアンティークコインは市場ではあまり出回らないため、価値も高くなります。
アンティークコインのグレードについて
アンティークコインにはグレードがあり、その呼称は国によってそれぞれです。
ここではその代表的なものとして、日本・イギリスとアメリカの例を紹介します。
それぞれ以下で解説します。
- 日本・イギリスのグレード名
- アメリカのグレード名
日本・イギリスのグレード名
日本・イギリスのグレード名は以下の通りです。
日本 | イギリス |
プルーフ | PF(Proof) |
プルーフライク | BBB |
完全未使用品 | FDC(Fleur de Coin) |
未使用品 | UNC(Uncirculated) |
準未使用品 | AU(Almost Uncirculated) |
極美品 | EF(Extremely Fine) |
美品 | VF(Very Fine) |
並品 | F(Fine) |
劣品 | VG(Very Good) |
なお、これらのグレードには「+」や「-」がつくこともあり、ここからさらに細かく分類されていきます。
アンティークコインの価値は様々な条件で変化するので、対応するにはそれだけの細かい分類が必要ということですね。
アメリカのグレード名
アメリカでは日本・イギリスとグレードの分類が違います。
アメリカはPCGSとNGCという2つの鑑定会社があり、その分類は70段階に及びます。
日本・イギリスよりさらに細かいですが、ある数値の範囲で分類が分けられており、それは以下の通りです。
イギリス | PCGS・NGC |
FDC(Fleur de Coin) | PF/MS 65~70 |
UNC(Uncirculated) | MS 62~64 |
AU(Almost Uncirculated) | AU 58~MS 61 |
EF(Extremely Fine) | XF 50~AU 55 |
VF(Very Fine) | VF 35~XF 45 |
F(Fine) | F 15~VF 30 |
VG(Very Good) | G 4~F 12 |
このようにアメリカでのグレードは日本・イギリスよりも細かく数値化されています。
価値の高い有名アンティークコインを紹介!
価値があるアンティークコインは大きく分けて2種類あります。
それは既に注目されているアンティークコインと、今後に期待できるアンティークコインです。
既に価値が高く、非常に有名なアンティークコイン既に注目されているアンティークコインは流通量に限りがあり、歴史的価値が高いです。ウナ&ライオン5ポンド金貨は最たる例と言えます。
ウナ&ライオン5ポンド金貨
出展:コインパレス
「ウナ&ライオン5ポンド金貨」は世界で一番美しいアンティークコインと言われ、近年最も価値が上昇したアンティークコインです。
このアンティークコインは多くの種類がありますが、どれも価値が急上昇しています。
出展:コインパレス
このグラフのように、ウナ&ライオン5ポンド金貨の価格が急激に上昇しています。
そのため、多くのコレクターが我先にと購入したと同時に、このアンティークコインの知名度も上昇しました。
知名度が上昇したことで、買い手が付きやすくなり、他のアンティークコインより売却しやすいという点も魅力の一つです。
ジョージ5世 クラウン試鋳銀貨
出展:コインパレス
基本的に試鋳貨幣はおすすめですが、その中でも「ジョージ5世 クラウン試鋳銀貨」は有名です。
試鋳貨幣をおすすめする理由は前述した流通量の無さにあります。
その流通量の少なさから、クラウン試鋳銀貨は試鋳貨幣の中でも1500万円という高値で取引されています。
古代リディア 紀元前610-546 獅子と太陽 1/3スターテル エレクトラム金貨
出展:コインパレス
「古代リディア 紀元前610-546 獅子と太陽 1/3スターテル エレクトラム金貨」はアンティークコイン全体のなかで見たらかなりマイナーなコインですが、一部の熱狂的なファンがいて、こういったアンティークコインの価値は下落することがほとんどありません。
古代コインヒビや歪みがあることが特徴です。これはコインを作る技術がなく、手で作っていたため、人によって形が変わるためです。
相場も比較的安価で、古代リディア 獅子と太陽 1/3スターテル エレクトラム金貨は70万円で取引されています。
以下では、比較的新しく今後に期待できるアンティークコイン今後に期待できるアンティークコインを理由と共に3つ紹介します。
近年の硬貨としての価値ではなく、記念としての価値を持つモダンコインが登場してきています。
今回は硬貨としての価値がある非モダンコインと、記念としての価値があるモダンコインを紹介します。これを参考にして、アンティークコインの投資に役立ててください。
2015 エリザベス女王 ワーテルローの戦い 5ポンド金貨
出展:コインパレス
「2015 エリザベス女王 ワーテルローの戦い 5ポンド金貨」はワーテルローの戦いから200年経過した、2015年に生産されたアンティークコインです。
ワーテルローの戦いとは、イギリス・オランダをはじめとする連合軍およびプロイセン軍の勝利した戦いで、このアンティークコインはワーテルローの戦いに勝利したことを記念したアンティークコインです。
このように特定の出来事から少なくとも50年以上経過し、それを記念して製作されたアンティークコインにはある特徴があります。
それは再生産されることがないことです。供給がストップするため、一度価値が上昇するとかなりの高額アンティークコインに化ける可能性があります。
現在60万円前後で取引されていますが、今後上昇する可能性を考えたら、今がチャンスかもしれません。
2020 エリザベス2世 メイフラワー号出航400周年 2ポンド金貨
出展:コインパレス
「2020 エリザベス2世 メイフラワー号出航400周年 2ポンド金貨」は1620年にイギリスから新天地アメリカに渡った船であるメイフラワー号のデザインが刻まれたモダンコインです。
アメリカではメイフラワー号を信教の自由の象徴として、歴史の教科書で紹介されています。
現在60万円前後で取引されていますが、このアンティークコインも同様に、今後注目される可能性が高いので、今が買い時と言えるでしょう。
スイス 2016 ティチーノ射撃祭 500フラン金貨
出展:コインパレス
「スイス 2016 ティチーノ射撃祭 500フラン金貨」は元々人気があった射撃祭コインですが、2016年に発行されたこのアンティークコインはデザインが良く、他の射撃祭コインと比べても圧倒的な人気があります。
通常版の発行枚数は200枚なので、市場の流通量も少ないです。なかでも「TIRO CANTONALE TICINESE」「GALLERIA DI BASE DEL SAN GOTTARDO」と記載されている特別版は25枚しか発行されておらず、市場では100万円で取引されています。
今後、このアンティークコインの価値は高くなることが見込めます。
アンティークコインが値下がりする5つの理由
アンティークコインの価値は一定ではありません。
アンティークコインを取り巻く環境によって価値が変動します。
ここからはその理由について解説します。
- 金や銀の相場変動の影響を受ける
- きれいにしたほうが良いと思って磨いてしまう
- アンティークコインを購入する際に高値で買ってしまった
- 自分の保有していたアンティークコインが新たに多く発見された
- 一過性の人気熱が冷めてしまった
理由①金や銀の相場変動の影響を受ける
アンティークコインの中でも価値あるものの多くは金貨や銀貨です。
そのため、アンティークコインの価格は金銀市場の相場変動の影響を受けます。
もし何らかの要因で金銀の相場が下がり続ければ、それを素材としているアンティークコインの価値も下がってしまうのです。
このようにアンティークコインが金属で作られている限り、その素材の相場変動の影響は受けてしまいます。
理由②きれいにしたほうが良いと思って磨いてしまう
金属は長い時間がたつと様々な理由で劣化したり、変色したりします。
たとえば銀であれば、光沢が失われ灰色っぽいものに変わっていきます。
このときに、ついコインを磨いてしまうなど人の手を加えてしまう人もいるでしょう。
しかしアンティークコインには骨董品としての歴史的価値があり、変色や過去の傷にも意義があると考えられます。
そのため、自分で手を加えるとかえってコインの価値を損なってしまうのです。
理由③アンティークコインを購入する際に高値で買ってしまった
アンティークコインは購入のタイミングによって価格が変化します。
購入した際にたまたま通常の相場よりも高値がついていて、購入後に値下がりしてしまう可能性もあるのです。
このように高値で買ってしまうと損をする原因にもなります。
そのためアンティークコインを購入する際は過去の価格をきちんと調べて、今の価格がどれだけ相場より高いのかまたは安いのかを調べることが必要です。
理由④自分の保有していたアンティークコインが新たに多く発見された
アンティークコインは歴史的価値があるので、残存枚数が少ないほど価値が高まります。
反対に、どこかから自分の保有しているものと同じアンティークコインが多数発見され、市場に出回れば、供給が増えた分だけ希少価値が下がるのです。
このような突発的要因でもアンティークコインの価値は下がることがあります。
理由⑤一過性の人気熱が冷めてしまった
商品の価値は需要と供給の関係性で決まりますが、アンティークコインもこれに含まれます。
供給が変わらないまま需要が高まれば、それに比例して価格も上昇するでしょう。
たとえば日本の1980年代に起きた不動産バブルでは、多くの人が「日本の不動産価値は上がる」と予想した結果、需要が高まり地価が上昇しました。
しかしそのバブルも熱が冷めて売却が続くと大きく価格を下落しました。
アンティークコインも同じで、一過性の人気熱が生じれば価値は一時的に上昇しますが、それが冷めれば価格は再びそれ以前の相場まで下落していきます。
人気のアンティークコインを衝動的に買うのは長期的には損をする可能性もあるので、購入の際は注意してください。
アンティークコインの手入れの必要性について
アンティークコインは手入れをすることでかえって損をする場合も多いです。
なぜなら、アンティークコインの価値は発行から現在まで、そのままの状態である方が歴史的価値が高まるからです。
ここからはそんなアンティークコインに手入れの必要はあるのかを解説します。
- 投資の場合は手入れ不要
- コレクションの場合はコインの素材によって方法が異なる
- すでに手入れされたコインの購入がオススメ
投資の場合
投資をする場合、コインの手入れはしない方がよいです。
コインの価値を決めるのは素材そのものの価値と骨董品としての価値の二つです。
このうち素材の価値はなかなか上がらない一方、骨董品としての価値は時間がたてばたつほど高まります。
たとえば300年前に発行されたコインと1000年前に発行されたコインでは、1000年前のコインの方が価値がありそうですよね。
このように骨董品としての価値が高まる背景には、コインのデザインなどもそうですが、長い時間でついたキズや汚れもあります。
つまり、アンティークコインを投資商品として考えた場合、手入れしてしまうほど歴史的価値がなくなり、かえって損をしてしまうのです。
アンティークコインを手入れして価値が落ちた実例
アンティークコインの価値が落ちた実例として、株式会社ダルマの「第49回日本コインオークション」に出品されたウナとライオンの5ポンド金貨があります。
この金貨は1839年に400枚のみ発行された金貨で、大変価値の高いもので、たった1枚のコインに1億円以上の価格がついたこともあります。
にもかかわらず、このオークションではコインは700万円で出品され、最終的な価格も1600万円にしかなりませんでした。
相場が2000万円とも言われるコインなのに、この価格になってしまったのは手入れされた状態だったからです。
このように、下手にコインに手入れをしてしまうと投資商品としての価値が大幅に下がる可能性があります。
コレクションの場合
投資目的ではなく、コレクションとして扱うのであればコインを手入れをしても問題ありません。
コレクションは誰かに売却して利益をあげることを目的としていないので、自分がコインはきれいな方がよいと思ったのであれば手入れしましょう。
以下ではコインの素材ごとの手入れ方法を紹介します。
金のコインの手入れ方法
金のコインをきれいにするには、貯めた水に重曹をいれて、そこにコインを沈ませる方法があります。
コインを力任せに磨いてしまうとかえってキズをつけるので、この方法がおすすめです。
他にも表面を傷つけないように、超音波の振動によって洗浄する方法もあります。
銀のコインの手入れ方法
銀のコインは酸化によって黒ずみやすい性質があります。
おすすめの方法は化学反応を利用するものです。
まず、アルミホイルを敷いてコインを置きます。
そこに重曹をコイン2,3枚に大さじ1ほどの分量でふりかけ、熱湯をひたるまでかけましょう。
すると泡立つとともに汚れが落ちるので、あとは水洗いとふきとりを行えば完了です。
すでに手入れされたコインの購入がオススメ
コレクションとしてコインを購入する場合、すでに手入れされたコインの購入がおすすめです。
自分でコインの手入れをするのは時間がかかります。
また、アンティークコインは手入れされていない方が価格も高くなるので、先に手入れされている方が購入しやすいです。
手入れされているコインは発行された年代が古くても、光沢があるので見分けがつくでしょう。
また、手入れされているコインは相場よりも安くなる傾向もあります。
価値が低いとされるコインとの付き合い方
アンティークコインの中には手入れされているもの以外にも、枚数などの関係から価値が低いコインもあります。
ここからはそんな価値の低いコインとどう付き合えばよいか解説します。
価値の低いコインは短期的に利益をあげることはできないため、コレクション用として保有するか、将来の値上がりを予想して長期保有するしかありません。
以下では、その点についてそれぞれ解説します。
- 所有しているということに満足する
- 将来価値が上がることに期待する
①所有しているということに満足する
コインを集めている目的には投資以外にもコレクションもあげられるかと思います。
少なからずコインそのものに興味がなければ、購入しないでしょう。
そこで、価値の低いコインは投資商品として扱うのではなく、コレクションの一つであると考えてみてください。
コレクションであれば、利益をあげなくても所有できているだけで満足できます。
無理な投資を防止できるので、こうした割り切りをすることも時には重要です。
②将来価値が上がることに期待する
今すぐ利益が出ないからといって、コインを売るのはもったいない場合があります。
今は価値が低くても、10年後や20年後に急に価値が上がる可能性もあるからです。
とくに一過性の需要の高まりは突発的に起こるので、常に備える必要があります。
コレクションする気がないのであれば、今は我慢して将来のために長期保有してみてください。
アンティークコイン価値まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事ではアンティークコインの価値について詳しく解説してきました。
税金や経済状況に強いアンティークコイン投資。おすすめ金貨や節税ポイントを徹底解説 投資としてのアンティークコインに興味をもったなら、是非この記事も参考にしてみてください。それでは全体のまとめをしていきます。- 他の投資と比べて、安心して取引ができる
- アンティークコイン市場は今後も拡大する
- 様々なアンティークコインを注目すべき